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桃花台とその周辺の「まちづくり」について考える

「JR春日井駅周辺地区市街地総合再生計画」について

 JR春日井駅では現在、老朽化し手狭となっていた旧駅舎を取り壊し、東西自由通路を備えた新駅舎を建設しています。

 供用開始は平成28年度の秋頃。もうあと半年ほどで、JR春日井駅は立派な橋上駅舎へと生まれ変わります。

 私も毎日JR春日井駅を利用していますが、工事もずいぶんと進み、もうまもなく駅舎の全体像がはっきりしそうだなとわくわくしているところです(笑)

 

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 さて、JR春日井駅の橋上駅舎化と同時に、JR春日井駅周辺では駅前の再開発に向けた動きも進められています。

 平成27年2月には「JR春日井駅周辺地区市街地総合再生計画」(以下、再生計画)において、JR春日井駅を取り囲む複数の街区をそれぞれ一体的に開発し、土地の高度利用を進める方針が示されました。

 

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 現在のJR春日井駅周辺は、春日井市の中心部にありながら、人通りもまばらで終日閑散としている印象を受けます。駅前ロータリーに面し多くの乗降客が行き来する北口周辺も、駅前にこれといった商業施設はなく、居酒屋などの飲食店が点在している他は、住宅や駐車場がほとんどといった状況です。

 このため、再生計画では、駅の表側である北口を中心に駅周辺の土地の高度利用を促し、市内外から駅を訪れる人を対象とした様々な都市機能を誘導するとともに、子育て世代を中心に駅周辺へのまちなか居住を推進することで、人口30万人都市・春日井市の玄関にふさわしいにぎわいある駅前づくりを進めていくことが目指されています。

 少しかしこまった文章になってしまいましたが、ようはJR春日井駅周辺の街区を再開発し、そこに集合住宅や商業施設、生活利便施設を集め、暮らしやすいにぎわいあるまちづくりを進めていこうというものです。

 JR春日井駅を頻繁に利用している身としては、この事業が早く着手されてにぎわいある駅前が早く実現してほしいという気持ちが強いですが、同時に、JR春日井駅は人口30万人都市である春日井市の玄関口ですから、中途半端な事業に終止してほしくないという心配もあります。

 ということで、この記事では、今後進められるであろう再生計画について、個人的に心配している点や期待している点などをつらつらと書いていきたいと思います。

 

 

1 勝川駅との差別化

 

 まず再生計画に関して、個人的に一番心配している点は、すでに再開発事業が完了しているJR勝川駅との差別化が図られるかどうかという点です。

 JR勝川駅では、中央線の高架化事業に合わせて行われた「JR勝川駅周辺総合整備事業」により、すでに駅前の再開発事業や駅周辺の区画整理事業が完了しています。

 再開発により、ドラッグストアや食料品店などの商業施設が新たに出店し、古くからあった駅前商店街も活性化しました。再開発ビルには病院を集めたクリニックモールなども併設され、生活利便施設が集中する環境が整ったことからマンションの建設なども相次いでいます。

 結果としてJR勝川駅周辺総合整備事業は、駅周辺ににぎわいを生み出し、駅周辺への人口集積も進めたという点で、一定の効果を上げたと評価できる事業でした。

 

 そのため個人的には、JR春日井駅周辺で今後行われる再開発事業も、JR勝川駅で実施された再開発事業とだいたい同様の内容に収まるのではないかと予想しています。

 ただし、JR春日井駅の場合は、JR勝川駅とはまた異なった再開発事業を実施する必要性が高いでしょう。

 たとえば、JR春日井駅には市内外の各方面へ伸びる路線バスが多く発着し、鉄道とバスを乗り継ぐ旅客が多く存在します。近隣には市役所等の公的機関、企業のオフィスが集中する鳥居松地区があり、JR春日井駅はその玄関としても機能しています。

 このような点を踏まえると、駅周辺には生活利便施設だけでなく、バスの乗換客やビジネスパーソンが軽く時間を潰せるカフェや飲食店が充実していると良いかもしれません。企業や市民などが利用できる展示ホールを併設し、催し物や企業の展示会等が開催できる施設があってもいいと思います。

 

 JR勝川駅における再開発事業では、住環境を向上させる生活利便施設の集約に力が入れられていたように思います。それは、駅を利用する人向けの施設ではなく、駅周辺に暮らす人をターゲットとした施設です。

 JR春日井駅の再開発事業でも、そのような生活利便施設を集約させることで住環境を向上させることは重要です。ただし、JR春日井駅の場合は、JR勝川駅よりも駅を単に通過するだけの人が多いことを踏まえ、それにふさわしい施設の整備を目指すことが大切であると考えます。

 

2 鳥居松地区との一体的なにぎわい創出

 

 JR春日井駅北口から徒歩20分ほどに位置する鳥居松地区。先程もさらっと触れましたが、この地区には春日井市役所をはじめとした公的機関や、さまざまな企業のオフィスなどが集中しています。古くからの商店街も残る春日井市の中心街であり、JR春日井駅春日井市全体の玄関であるとともに、この鳥居松地区へ向かう際の玄関としても機能しています。

 JR春日井駅の再開発においては、この鳥居松地区との連携、一体的なにぎわい創出を期待したいところです。実際、平成19年に春日井市が策定した「春日井市都市交流拠点将来ビジョン」においても、駅周辺地区と鳥居松地区とを連結したまちづくりが重要であるとの指摘がなされており、ビジョンの中で具体的な方策として、バス交通の利便性向上や歩行空間の整備、商店街の再生等が挙げられています。

 現在でもすでに、JR春日井駅と鳥居松地区との間には朝夕を中心に名鉄バスの路線バスが多く発着しています。しかし、バスが走行する道路は朝夕を中心に道路の混雑が激しいため、まずはこのような点が改善されることが望ましいと思われます。

 例えば、駅周辺の街路を再整備し、バス・トランジットモールを用いて渋滞の激しい区間を迂回させます。バス・トランジットモールを整備することにより、同時に駅から鳥居松地区までの歩行空間も確保できるでしょう。

 

▼バス・トランジットモール整備区間(例)

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赤い線で示した道路にバス・トランジットモールを導入する。導入に際しては、周辺交通への影響などを考慮する必要がある。

 

 このほか、都市機能を集積させる駅周辺と、商店街の再生が課題となっている鳥居松地区との関係性をどのようなものにし、それぞれの地区をどのような方向性で開発していくのかという点についても検討しておく必要があると思われます。

 駅周辺に商業施設が集積しているのに、鳥居松地区にさらに商業施設を集積させるとなれば、共倒れになりかねません。それぞれの地区の開発方針をあらかじめ定め、両地区の開発がともに相乗効果を生むような計画を立てなければならないと思います。

 

3 市内最大のバスターミナルとしての機能強化

 

 JR春日井駅には、名鉄バスやあおい交通の運行する路線バスが乗り入れており、毎日バスと電車を乗り継ぐ利用客が多く行き交います。しかし、毎日多くの路線バスが発着する北口の駅前ロータリーは手狭で、バスを待つスペースも分かりにくくなってしまっているのが現状です。

 JR春日井駅北口の駅前ロータリーについては、再生計画の中でも再整備の方針が示されています。今のところ具体的な事業の中身は決まっていないと思われますが、少なくとも路線バスの待合スペースやタクシープール、待車スペースなどを拡張し、広々としたゆとりある駅前広場に整備し直すといった感じになるのではないでしょうか。

 現状の駅前ロータリーはバスや一般車両、タクシー、歩行者や自転車が入り乱れて大変危険な状況となっているので、駅前広場の再整備は、駅舎の橋上化事業が完了した後速やかに着手してもらいたい事業であると個人的には思っています。

 同時に、駅前広場の再整備にあたっては、駅北口を市内最大のバスターミナルとして機能させるべく、一歩踏み込んだ整備方針を示してもらいたいと考えています。

 たとえば、バスの待合スペースに電光掲示板を設置し、バスの発着状況をひと目で確認できるようにする、名鉄バスの定期券購入窓口やmanacaのチャージ機を設置してバス利用者の利便性向上に努める、あおい交通の運行する桃花台バスや名古屋造形大学のシャトルバスを駅前ロータリーまで乗り入れさせる、といったことが考えられます。

 

▼バスターミナルに設置される電光掲示板のイメージ

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以前の記事でも掲載した写真で、富山市富山駅前のバスターミナルに設置されている電光掲示板です。このようなバスに関する総合案内を行う空間に、定期券の購入窓口やmanacaのチャージ機等を設置します。

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 以上、JR春日井駅周辺地区市街地総合再生計画について、3つの観点からいろいろ書かせていただきました。

 春日井市というのは、人口30万人を超える比較的大きな都市です。首都圏や関西圏で人口30万人を超える都市となれば、駅前には大型の商業施設やテナントビルが立ち並び、タワーマンションなども存在する立派な繁華街を有することが多いです。

 都市構造や都市圏の経済規模、地域の特性の違いなどもあるため単純に比較することは難しいですが、それでも現在のJR春日井駅前の様子は、30万人が暮らす都市の玄関口としてはあまりにも寂しいと感じざるを得ません。

 新駅舎の完成、そして駅周辺の再開発事業を契機に、駅前に様々な商業施設が集積し、多くの人が行き交い、にぎわいと活気であふれるターミナル駅に生まれ変わることを期待したいと思います。