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桃花台とその周辺の「まちづくり」について考える

小牧市 「TSUTAYA図書館」をめぐり住民投票実施へ

9月10日、小牧市議会で新図書館建設計画を白紙に戻すことについて住民の是非を問う住民投票条例案が可決されました。

これに伴い、10月4日の市議会議員選挙と同時に新図書館建設計画に関する住民投票が行われることとなりました。

この動きに関して、少しややこしい話を2点ほど、できる限り分かりやすく解説させていただきます。

 

 

なぜ住民投票が行われるのか

まず1点目、そもそもなぜ住民投票が行われるのか。

今回の住民投票は、市民から「新図書館建設計画を白紙にすることに関する住民投票条例制定請求」という直接請求がなされたことによるものです。

地方自治法が定める直接請求の要件を満たす署名が集まったことで、市長は新図書館建設計画の白紙について市民に是非を問う住民投票を実施するための条例案を提出することとなりました。

そしてこの条例案が9月10日、市議会で可決されたことにより、新図書館建設計画の白紙について市民の賛否を問うための住民投票が実施されることとなったわけです。

 

住民投票の目的は何か

2点目。ではこの住民投票は、一体何を目的にしたものなのか。

今回の住民投票条例は、新図書館建設計画自体を全て白紙撤回することを問うものではありません。
白紙に戻すことについて賛否を問うのは、現在進められている新図書館計画、すなわち「TSUTAYA図書館」に関する計画のみです。

よく分からない人も多いと思いますので、本題に触れる前に、まずこの新図書館建設計画について少し詳しく見ていきましょう。

 

実は、小牧市では、7年以上前から小牧市立図書館の移設・建て替えについて検討が重ねられてきた経緯があります。

新図書館については、平成20年には「新小牧市立図書館建設基本構想」を、平成21年には「新小牧市立図書館建設基本計画」を策定し、老朽化が進む私立図書館の移設・建替えに向けた準備が進められていました。

 

新小牧市立図書館建設基本構想|小牧市

新小牧市立図書館建設基本計画|小牧市

 

この基本構想・基本計画は新図書館の建設を見据えかなり細部まで検討を重ねたもので、その過程ではパブリックコメントや市民との意見交換会なども何度か行われたものでした。これはすなわち、市民の意見が多く取り入れられた計画だったということです。

そして新図書館の計画のあらかたについてはほぼこの段階で決定されており、残すは建設段階のみという状況でした。

しかしその後の平成26年7月、市は新図書館建設についてアドバイスを行う民間事業者を選ぶ「新小牧市立図書館建設アドバイザリー業務委託プロポーザル(連携民間事業者選定)」を実施し、同年8月26日にはこの結果としてCCC・TRC共同事業体を選定します。

これ以前の時点ですでに新図書館建設計画は一定の形でまとまっていたのですが、このアドバイザリー業務委託プロポーザルの実施により、策定されていた既存の計画は棚上げされる形となり、新たに民間事業者(CCC)によって新しい新図書館建設に関する計画が策定されることとなりました。

そして今年平成27年8月、CCC・TRC共同事業体の提案を基に新たな新図書館建設建設計画が策定され、新小牧市立図書館建設基本設計(案)として、8月17日からのパブリックコメント実施に至ったわけです。

 

新図書館の建設|小牧市

 

 

 

以上が新図書館建設計画のここまでの経緯です。

そして簡単に言ってしまうと、今回の住民投票で白紙に戻すかどうかの投票を行う新図書館計画というのは、この新小牧市立図書館建設基本設計案となります

つまり、住民投票の目的は、「箱モノやめろー!」のような安易な反対運動の一環ではなく、民間事業者によるアドバイスを排除し、当初市が策定していた新図書館建設計画に沿った新図書館建設を実施すべきか否かを問うものであるということになるわけです。

 

平成27年第3回定例会(9月議会)提出議案|小牧市

議案第100号及び議案第101号

 

上記の市議会のサイトから条例案を見ることができます。

議案第100号と議案第101号は、いずれも直接請求の内容を市議が条例案として提案したものです。

「第100号(新図書館の建設計画に関する住民投票条例の制定について)」と「第101号(現在の新図書館建設計画に関する住民投票条例の制定について)」という2本の条例案が議員によって提出され、どうやら後者(第101号案)が成立したとのことです。

ちなみに、市長が直接請求によって提出した条例案は第96号案で、市長の意見が付されたものとなっています。こちらの案は8日の市議会文教委員会で否決されましたが、一部議員が中心となって対案を作成し議会に提出する形で今回の住民投票条例が成立しました。

 

議案第96号

 

mainichi.jp

 

さて、ここで一つ疑問が残る人がいるかもしれません。

なぜ現在の新図書館建設計画を白紙に戻す必要があるのか。

それは一言で言うと、図書館の建設から運営に関する重要な事項を民間事業者に任せることについて、市民の意見が反映されていないということに尽きると私は考えています。

というのも、新図書館の基本構想や基本計画の中で民間事業者によるアドバイザリー業務委託という話は一切なく、図書館は今までどおり市が建設して市が運営するという前提で計画が策定された経緯があります。

そうであるならば、本来、市は新図書館建設アドバイザリー業務委託プロポーザル(連携民間事業者選定)を行う時点で一度新図書館計画の見直しを提起し、基本計画を修正する形で民間事業者による図書館建設・運営という事項を検討するのが筋であったように思います。

ですが、実際はそのような手続が踏まれることはなく、これまでの計画は事実上放棄された形で新たな計画が策定されてしまいました。

このような市の姿勢に一部住民が反発し、それに呼応した議員の協力もあって住民投票条例が可決されるに至ったわけです。

 

 

 

 

最後に、個人的な意見を少し。

 

確かに、「TSUTAYA図書館」という目新しさは魅力的に感じます。

自分も、地元に話題のTSUTAYA図書館ができるという発表には期待もしましたし、小牧市にはTSUTAYAもスタバもないので少しでも魅力的な街になるのなら歓迎したいという気持ちもありました。

一方で、CCCによる図書館運営には先進事例となる武雄市図書館を巡って様々な問題が表面化していることも知っていたため、その点での不安も当初から大きいものでした。

以前の記事でも述べたとおり、図書館は市民のための施設であることが第一です。そのためには、やはり建設段階から市民の意見が反映され、市民の同意が必要になります。

 

市民の意見が反映された計画を基礎にCCCが計画に参画し、官・民そして市民による活力ある図書館運営を目指せれば、というのが個人的な本音になりますが、そううまく行くものでもなさそうです。

 

ここから先は、市民の皆さんひとりひとりの判断になります。

住民投票は10月4日、市議会議員選挙と併せて実施されますので、有権者の皆さんはぜひ投票に行きましょう。

 

 

 

 

住民投票

今回行われる住民投票は、条例の改廃・制定を求める直接請求によって新たに住民投票条例を制定して行われるものです。

直接請求とは、ようは条例を改正したり廃止したり、あるいは制定したりすることを自治体の首長(市長)に要求するもので、今回はこの要求内容が「新図書館の計画を白紙に戻すか否かの住民投票を行う条例を制定してくれ」というものだったわけです。

住民投票地方自治法に規定された制度ではなく、投票結果が行政を拘束する旨の条文が条例にない限り、法的拘束力を持ちません。

すなわち、仮に結果が「白紙にすべき」であったとしても、市は必ず計画を白紙にする必要はないということになります。

実際、成立した議案第101号においても、第13条において投票結果については「尊重するものとする」との文言があるだけですので、この条例においては投票結果が行政を拘束するということはありません。

投票結果の尊重
第13条 市長及び市議会は、住民投票の結果を尊重するものとする。

 ですが、例えば大差で白紙を求める票が多かった場合や、投票率が高かった上での結果になった場合は、その意見を無視して行政運営を行うことで後の政治責任を追求されかねませんので、投票結果にはやはり重みがあります。