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桃花台とその周辺の「まちづくり」について考える

旧桃花台線インフラ跡地活用案 『国道155号線に中央走行バスレーンを整備する提言』

旧桃花台線 まちづくり提案 小牧市

先日、愛知県が小牧市に対して、旧桃花台線「ピーチライナー」のインフラを全面撤去する方針であることを伝えたとの報道がなされました。

廃止からまもなく9年がたちますが、その間ほとんど姿を変えることなく放置されてきた旧桃花台線のインフラは、ようやく全面撤去に向けて動き出すことになりそうです。

 

さて、これまで旧桃花台線のインフラについては、その一部をそのまま利活用する方向で検討が進められてきましたが、全面撤去となればこれらの検討内容も大幅に見直す必要が出てくることになります。

これまで、愛知県に設置された旧桃花台線のインフラ利活用について考える検討会(桃花台線インフラ利活用懇談会)では、国道155号線部分の高架区間約3kmを小型車専用道路に転用するとともに、国道155号線にバス優先レーンを設置するという利活用計画が提案されていました。

 

桃花台線インフラ利活用検討報告書


これは、国道155号線を通過する普通乗用車を高架でバイパスさせて交通量を減少させ、その上でバス優先レーンを整備し路線バスの定時性・速達性を確保しようというものでした。

全面撤去となれば、この提案も当然なかったことになります。

 

 

仮に今後、旧桃花台線のインフラ全面撤去が正式に決定したとすれば、インフラを巡る関心は撤去費用やその分担(愛知県と小牧市でいくら負担しあうか)、工期や周辺交通への影響にシフトするでしょう。

一方で、インフラ撤去によって多少ながらも活用可能なスペースが生じることも、個人的には忘れてはいけないところであると思っています。

特に、これまで利活用が検討されてきた国道155号線では、高架橋の撤去によって1車線分に相当する中央分離帯が活用可能となりますし、小牧駅や桃花台センター駅跡地なども、比較的人通りの多い場所にできる大きなスペースであるため、活用の余地は大きいと考えています。

こういった跡地の利用という点が、全面撤去によって生じる議論の影に隠れてしまい、せっかく桃花台ニュータウン小牧市の住民生活に資する活用法が可能であっても、それが見過ごされてしまわないかという点が、個人的に気にかかるところでもあります。

 

 

そこで当ブログでは、旧桃花台線のインフラが全面撤去されることを見越し、撤去後の跡地の活用案について何個か提言をしていきたいと考えています。

今回はその第一弾。撤去後に空地となる国道155号線の大きな中央分離帯を活用し、路線バス専用の中央走行バスレーンを整備する案について書きたいと思います。

 

 

中央走行バスレーンとは、通常、道路の左端に設置されるバスレーンを道路の中央部に整備する方式で、交差点などでの左折車や路上駐車の影響を最小限にし、バスの速達性と定時性を向上させることができます。

国内では名古屋市の基幹バス「新出来町線」でのみ導入実績がありますが、近年は「BRT(バス高速輸送システム)」の名の下、新潟市などで中央走行式のバスレーンを整備しようとする動きが出ています。

本来は慢性的に混雑する都心部の幹線道路に整備することでそのメリットを最大限に活かすことができるものですが、これをアレンジして導入することで、小牧市の東西交通軸の要としての役割を担うこととします。

 

整備区間は、国道155号線小牧原駅前の交差点ー上末東山西交差点までの約3.2km

名古屋市の基幹バスでは往復方向にそれぞれ専用レーンが整備されていますが、国道155号線では桃花台ニュータウンから小牧駅方面へ向かう方向にのみ中央走行レーンを整備し、小牧駅から桃花台ニュータウンへ向かう方向については通常のバス優先レーンを整備することとします。

これは、国道155号線はトラックなどの大型車が多く通るため、バスレーンの整備よって交差点や道路が複雑化したり、車線の幅が狭くなることはなるべく避けるのが望ましいと思われるためで、国道155号線の中央分離帯の幅がちょうど同線の車線1つ分ということを勘案すると、速達性・定時性確保の要求がより高い小牧駅方向への導入が適切であると考えます。

 

中央走行レーンの停留所も、道路の中央に整備します。

停留所は、これまでのピーチバスや旧桃花台線の駅位置を参考にしながら、東田中、東田中橋東、上末、上末東山西各交差点に、それぞれ東田中、三菱重工名誘、上末、市民球場北各停留所を設置することとします。

 

ここまでを地図にまとめると以下のようになります。

 

▼中央走行レーン導入区間と停留所位置

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A-Bの青線区間で中央走行レーンを導入。停留所は、Aの側から①市民球場北、②上末、③三菱重工業名誘、④東田中。

 

▼参考:名古屋市の基幹バス

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出典:基幹バス (名古屋市) - Wikipedia

国道155号線においては、バスレーン2車線の内どちらか1車線のみを整備する。画像上部は道路中央に設けられた停留所。

 

ただ、国道155号線の場合、停留所を設置する交差点を改修する必要が出てきます。

まず、名古屋市基幹バスのように、交差点の横断歩道と直結した停留所を設置する場合、現状の中央分離帯のスペースでは設置が困難です。

国道155号線の幅員を考えると、交差点付近の歩道を若干狭める形で車道を拡幅したり、あるいは車線の幅を多少縮めるなどして停留所を設置するスペースを確保する必要がありますので、中央走行レーンの導入について考えられる技術的な課題はまずこの1点です。

この提案では中央走行レーンの設置は一方方向にのみとするため、交差点の改修は小規模で済むでしょう。そうはいっても、歩道を狭める場合には電柱や街路灯を移設したりする必要がありますので、その辺りが中央走行レーン実現の物理的なハードルとなります。

 

▼東田中交差点の現況(Google Mapsストリートビューより)

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東田中交差点東側に停留所を設置する場合、画像中央の分離帯にバスレーンと細長い停留所を設ける必要があるが、中央分離帯のみの幅ではおそらく不可能。

 

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そこで、考えられる方法としては、画像左側の歩道を狭め、これに合わせて車道をスライドさせて、道路の中央部分のスペースを広げて停留所を設置する方法。

この際、信号機の柱や街路灯を移設する必要がある。

 

国道155号線の交差点はほぼすべて同じような規格で作られているため、この他の交差点でも同様の手法で停留所を設置することとなると考えられます。

 

ちなみに、国道155号線の構造として、交差点付近は歩道の幅が狭められていますが、交差点以外の部分はもともと歩道が広く作られています。

そのため、交差点にこだわらず、歩道橋や押しボタン式信号機の設置などを用いて交差点以外の場所に停留所を設けるのなら、歩道を狭めることでスペースの確保はより容易になるのではないかと思いますが、何せ歩道橋はコストやバリアフリーの点で不利でしょうし、押ボタン式信号機は交通への影響が大きいため、できれば交差点に停留所を併設したいですね。

 

 

名古屋市基幹バスの中央走行レーンは、一般の自動車の走行も可能な作りになっています。

対して、国道155号線に整備する中央走行レーンでは、ポールを設置するなどして通常の車線との分離を図ります。

名古屋市基幹バスの新出来町線は「初見殺し」と言われるように、初めて新出来町線が通る道路を運転すると戸惑うといった声がよく聞かれますが、国道155号線でこのような状況になるのはあまり好ましくありません。

国道155号線はトラックの通行量も多く、周辺に物流拠点や大きな事業所などが多い地域の幹線道路であることから、初めてのドライバーにもできるだけ分かりやすい道路構造にすることを念頭に置き、中央走行レーンと通常の車道を完全に分離することとします。

交差点でも、誤進入を防ぐため名古屋市基幹バスのようなカラー塗装を交差点に施したり、バスレーンの存在を知らせる標識などを設置してドライバーへ注意を呼びかけます。

また、交差点の信号機は名古屋市基幹バスと同様、セパレート信号を採用し、バスの走行と右折車が同時に発進しないようにします。

これらの点については、道路の管理者である県や国、信号を管理する愛知県警との調整が必要になりますので、こういった関係機関との連携が実現への課題と思われます。

 

 

停留所については、狭い空間に設置することになるためどうしても小さなものになってしまいますが、それでも道路の中央に設置されるということを踏まえ、名古屋市基幹バスと同じように屋根と壁が設けられたタイプであることが望ましいと考えています。

 

▼参考:名古屋市基幹バスの停留所と富山ライトレールの停留所

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名古屋市基幹バス 古出来町停留所

自動車の衝突などを防止するため、コンクリート壁が設けられている。

 

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富山ライトレール インテックス本社前停留所

名古屋市基幹バスよりも簡素な作り。自動車の衝突防止の柵が設置されている。

 

道路の中央にある以上、自動車の衝突に対してある程度安全性を備える必要がありますし、雨天時には道路の中央で傘を差すのも危険ですので、上屋は必須でしょう。

 

 

 

 

以上、いろいろ書いてきましたが、これら一連の中央走行レーン整備の結果、国道155号線を通過する路線バスは道路交通からある程度分離された状況となります。

このため、交通量が多かったり、交差点付近で自動車が詰まったりしていても、バスの運行はその影響を受けることがなくなり、定時性が向上します。

速達性については、整備区間が約3kmと短いことから劇的な時間短縮に繋がることはないかと考えていますが、一般の自動車と分離することで多少速度を上げた走行が可能になるでしょう。

 

 

 

小牧市の公共交通には課題が盛り沢山です。

その一つに、半ば分断された市の東と西を結ぶ東西交通軸の強化があります。

この中央走行レーンの整備は、距離的に分断されている市の東部と西部を少しでも近付けるべく、バス交通の利便性向上によって東西交通軸の強化を図ろうとするものです。

将来的には、バスレーンの整備は国道155号線の高架橋の撤去区間にとどまらず、レーンの整備区間をさらに小牧駅に近付ける延伸なども行われると、その効果を最大限発揮できるのではないかと考えています。

 

また、この中央走行レーンは主にピーチバスを念頭に置いて考えているものですが、いずれはこまき巡回バスがこのレーンを走行するといったことも検討課題だと思っています。

というのも、小牧市東部の野口や大草、高根といった地区は、市役所や市民病院といった市の主要な施設が集積する市西部から離れた地域になっており、小牧駅方面へ向かう際の巡回バスの所要時間が長いとの不満が出ている地区でもあります。

こまき巡回バスの東部コースについては現在コースの見直し作業が行われていますが、この見直し以降、さらに見直しが必要になった時点でまだ同様の不満があり、なおかつ国道155号線に中央走行レーンが整備されているとすれば、これはこまき巡回バス東部コースの所要時間短縮の切り札にもなり得るのではないでしょうか。

 

このように、国道155号線に中央走行バスレーンを整備するという案は、単にピーチバスの利用者が恩恵を受けるだけでなく、市西部と市東部を距離的に近付ける上で重要な機能を担うと考えています。

 

 

 

 

 

さて、長くなりましたが、以上が提言の内容になります。

桃花台線のインフラ撤去を巡っては、まずはインフラ撤去に関する諸々の課題を克服することが最優先事項になります。

ですが、それが一段落した後には、ぜひ、インフラ撤去によって生じるスペースの活用方法について市民レベルでの検討があってほしいものです。