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変わる栄で存在感示せるか 興和、2020年末に丸栄跡地での暫定商業施設開業を発表

 2018年6月末をもって閉店した名古屋・栄の老舗百貨店「丸栄」について、親会社の興和は、「食」をテーマにした地上3階の商業施設を2020年末までに開業させる方針であることを明らかにしました。

名古屋・丸栄跡地に商業施設 「食」テーマ、来年末にも:朝日新聞デジタル

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閉店前の丸栄本店(Wikipediaより引用)

 丸栄跡地を巡っては、広小路通を挟んで北側にある「ニューサカエビル」「栄町ビル」などを含めた一体開発が計画されていますが、一部の地権者との交渉が難航しており、当初開発の目標時期としていた2027年までの完成が危ぶまれてきました。

 今回、興和は、一体開発の方針こそ変更しないものの、完成時期は大幅に遅れる可能性が高いとしています。その上で、栄の一等地である丸栄跡地については暫定的に商業施設を開業させ、将来的な一体開発までの間、土地の有効活用を図る考えです。

 

 丸栄跡地の再開発は、栄角地の再開発、中日ビル建て替えと並んでこれからの栄を大きく変える三大要素であると言えます。

 すでに栄角地、中日ビルでは、それぞれ2024年度内の事業完了に向けてスケジュールが進み始めており、栄は2027年のリニア中央新幹線開業を前に大きな変化を遂げることでしょう。この動きに対しては、名古屋市も、久屋大通公園の再整備事業などで援護射撃しています。

 このような中で、栄の一等地中の一等地とも言うべき丸栄跡地の再開発は、あまりにも立ち遅れていると言わざるを得ません。

 今後、栄の集客は、栄角地の再開発と中日ビルの建て替えにより、栄交差点よりも東側へ核となる部分がずれると予想されます。加えて、久屋大通公園の再整備事業により人の往来が南北方向に活性化され、栄の面的な広がりは広小路通を中心とした東西方向だけでなく、久屋大通公園を中心とした南北方向へも広がっていくでしょう。

 そしておそらく、丸栄跡地の再開発が遅れれば遅れるほど、人の流れは丸栄跡地の周辺から遠ざかっていくものと思われます。

 この点についてはひとまず、今回、興和が暫定商業施設の開業を発表したことで回避されました。規模は3階建てと小規模ですが、話題性により一定の集客力は見込めるでしょう。

 一方で、この暫定商業施設がいつまで存続し、その後に続く一体開発の中身がいつ具体化するかについての目処は、現時点で何一つとして立っていません。

 

 筆者としては、このような状況が続くことを理由に暫定商業施設を長期に渡って存続させるのは得策ではないと考えます。

 興和は一体開発の方針を崩していませんが、あまりにも地権者との交渉が長期化するようであれば、丸栄跡地を1期区画として先行して再開発し、残る部分は2期区画として引き続き地権者との交渉を続けるといった具合に、段階的な整備に軸足を移した方が現実的な気もします。

 丸栄跡地の暫定商業施設としての活用は5年程度に抑え、その後は他の地権者との交渉が引き続き難航していたとしても、丸栄跡地のみを範囲として、早期に本格的な再開発事業へ移行することが望ましいのではないでしょうか。

 

 最後に、丸栄跡地とその周辺地区(ニューサカエビル、栄町ビル等)について、筆者が期待している再開発事業の中身にも触れておこうと思います。

 丸栄跡地と周辺地区は、栄で現在動きのある再開発計画の中で最も規模の大きな計画であると言えます。立地も一等地にあり、再開発後は栄を代表するランドマークとして君臨するにふさわしい施設として生まれ変わるのが理想的です。

 まず、丸栄跡地には、150m級の超高層ビルを建設し、低層階には洗練された高級商業施設が、高層階にはオフィスが配置されるのが良いと思います。

 広小路通を挟んだ向かい側には、200m級の超高層ビルに、オフィスやホテル、住居を配置し、低層階には商業施設を配置します。

 ホテルには、名古屋市に不足していると言われているラグジュアリーホテルを誘致するのが理想です。また、商業施設はJR名古屋高島屋ゲートタワーモールのように、モール型の専門店街とするのが良いと思います。

 隣接する地下街「サカエチカ」からの接続も、六本木ヒルズのメトロハットのように、シンボリックな空間となるよう工夫するのが良いでしょう。

 繰り返しになりますが、丸栄跡地の再開発は、現在の名古屋市内全体を見回しても比較的規模の大きな事業となることが見込まれます。個人的には、東京の新しいランドマークとなった日比谷ミッドタウンや虎ノ門ヒルズのような施設をイメージしていますが、実際に実現する施設は果たして一体どのようなものになるのでしょうか。

 今後の丸栄跡地の動向に期待しています。