クサノネシンクタンク

まちづくりについて考える

金城ふ頭で大型開発が続々着手へ! 金城ふ頭は名古屋を代表するウォーターフロントへと成長できるか

 名古屋市港区の金城ふ頭では、2019年から始動する名古屋国際展示場(ポートメッセなごや)第1展示館の移転・拡張事業を皮切りに、レゴランド・ジャパンの拡張をはじめとした様々な開発事業が計画されています。

 これまで名古屋市の代表的なウォーターフロントと言えば名古屋港水族館などが集まるガーデンふ頭でしたが、今後の開発次第では金城ふ頭が名古屋市を代表するウォーターフロント地区として脚光を浴びるようになるかもしれません。

 今回の記事では、今後の変化に期待がかかる金城ふ頭について、現在計画されている開発の紹介を交えながら、その将来像について考えてみたいと思います。

 

 名古屋国際展示場(ポートメッセなごや)の拡張計画

 名古屋国際展示場(ポートメッセなごや)では、現在は約34,000㎡の展示面積を、2026年までに60,000㎡まで拡張する計画が進められています。

 すでに老朽化した第1展示館はあおなみ線金城ふ頭駅南側の隣接地へと移転が決まっており、新展示館は2022年10月に開業し、展示面積もこれまでの14,000㎡から20,000㎡へと拡張されます。

f:id:citypeach:20190106154937j:plain

新第1展示館の完成イメージ(日本経済新聞より引用)

ポートメッセの新第1展示館 竹中が落札、318億円で :日本経済新聞

 

 残る第2・第3展示館については、展示スペースを2層構造にするなどして拡張を進め、2026年までには新第1展示館と合わせた展示面積を60,000㎡とする計画だそうです。

レゴランド・ジャパンの拡張

 2017年春に開業したレゴランド・ジャパンは、移転後のポートメッセなごや第1展示館跡地を活用し、敷地面積を現在の約9ヘクタールから13ヘクタールへと拡張する2期工事に着手します。

 現在の第1展示館は、新第1展示館が開業する2022年10月以後に解体されるため、レゴランドの拡張は早くても2023年以降となるでしょう。

 さらに、レゴランドでは、2018年に開業したレゴランド・ホテルの稼働が好調なことを受けて、金城ふ頭内で2棟目のオフィシャルホテル建設を検討しているとの報道もあります。検討段階であるため詳細はわかりませんが、レゴランドの拡張に合わせて2棟目のオフィシャルホテルが開業する可能性もあるかもしれません。

レゴランド規模拡大 数百億円投資へ : 中部発 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

名古屋鉄道グループによる新ホテルの計画

 名鉄グループあおなみ線金城ふ頭駅前でホテルの開業を計画していることが、前述の読売新聞記事内で触れられています。

 建設地は不明ですが、ポートメッセなごや新第1展示館の建設を報じる建設通信新聞に掲載されていた位置図を参照したところ、武田テバオーシャンアリーナ南側の緑地内である可能性が高そうです。この緑地には「ホテル施設予定地」に加え「コンベンション施設予定地」の記載もあり、新第1展示館の開業に合わせたホテルとコンベンション施設の建設計画が進んでいるものと推測されます。

f:id:citypeach:20190106165726j:plain

金城ふ頭の開発計画図(建設通信新聞より引用)

 金城ふ頭内には、レゴランドを訪れるファミリー層向けのレゴランド・ホテルしかホテルがないため、ポートメッセなごやの拡張に合わせてその他の客層に対応するビジネスホテルが建設されるのでしょう。

大型クルーズ船の入港施設整備

 国土交通省中部地方整備局は、2022年以降の開業を目指し、金城ふ頭への大型クルーズ船入港施設を整備する方針です。

 名古屋港では、受け入れ施設のあるガーデンふ頭よりも沖合に伊勢湾岸自動車道が開通したため、名港中央大橋をくぐることのできない大型クルーズ船は名港中央大橋よりも南側にある金城ふ頭に臨時の受け入れ場所を設けて対応してきました。

 しかし近年は日本各地で大型クルーズ船の寄港が増加しており、中部地方への訪日外国人観光客誘致を加速させるため、常設の受け入れ施設を金城ふ頭にも整備することとなったものです。

 整備場所はリニア・鉄道館に隣接した金城ふ頭東側とのことです。

名古屋・金城ふ頭に大型クルーズ船拠点 22年度以降に:朝日新聞デジタル

イカーズ・ピアの第2期整備

 レゴランド・ジャパンと合わせて開業したメイカーズ・ピアには第2期計画が存在しています。武田テバオーシャンアリーナの西側にある駐車場はその拡張予定地となっていますが、メイカーズ・ピアは開業以来集客に苦戦しており、今のところは第2期整備に着手できる状況ではなさそうです。

 

 

 以上が、現在金城ふ頭で予定されている開発計画の全体像となります。

 金城ふ頭はこれまで自動車の輸出基地としてこの地方を支える貿易の拠点でしたが、2017年のレゴランド・ジャパン開業、さらに今後始まるポートメッセなごや拡張事業をはじめとした開発計画により、東海地方随一の交流・観光拠点として成長を遂げていくことでしょう。

 ただ、金城ふ頭の知名度名古屋港水族館などが立地するガーデンふ頭にはまだまだ及ばず、目玉施設として開業したレゴランド・ジャパンとメイカーズ・ピアの集客も芳しくないことが伝えられるなど、知名度や集客力に課題を残しているのが実情です。

 筆者は金城ふ頭がガーデンふ頭と並び立って名古屋市を代表するウォーターフロントへと成長することを期待していますが、そのためには金城ふ頭の存在と魅力を広く発信するとともに、さらなる集客力の向上が不可欠であると考えています。

 

 例えば、名古屋市が2026年までの完了を目指すポートメッセなごや拡張事業は最大で60,000㎡までの拡張を視野に入れたものですが、この規模は世界の見本市会場の中では小規模な部類に入り、日本国内に限っても東京ビッグサイト(約96,000㎡)、インテックス大阪(73,000㎡)、幕張メッセ(約72,000㎡)に次ぐ4番目の規模にとどまります。愛知県は2019年度中の開業を目指して中部国際空港がある空港島内に60,000㎡の国際展示場を建設中ですが、こちらは将来の拡張性が残されており、最大で100,000㎡まで拡張可能な敷地が確保されています。

 金城ふ頭を本格的な国際交流拠点とし、金城ふ頭が待つ価値を国内有数のものとするためにも、ポートメッセなごやの拡張規模は国内最大級となる100,000㎡規模を視野に入れるべきであると筆者は考えます。広大な拡張用地については、名古屋港全体の物流機能を段階的に再編し、金城ふ頭内の物流区画を別の埠頭などに集約することで確保するものとします。

 

 レゴランド・ジャパンやメイカーズ・ピア以外にも、金城ふ頭には新たな集客施設の誘致が必要です。

 ポートメッセなごやでは見本市や展示会のほかにも大規模な音楽フェスやコンサートが開催され、金城ふ頭は関東地方における幕張新都心のような東海地方を代表する音楽イベントの開催地として定着しつつあります。

 そこで、金城ふ頭の新たな目玉となる集客施設としては、収容人数2,000人程度のライブハウスを誘致してみてはどうかと考えます。

 名古屋市内には収容人数1,000人を超える大型ライブハウスがZepp Nagoyaの1施設しかなく、東京や大阪に比べて同規模のライブハウスが不足している感が否めません。

 ライブハウスは公演ごとに多様な客層を呼び込むことができ、継続的な稼働が確保できれば都心からやや離れていても十分な集客が見込めます。ライブハウスを巡っては、過去に全国でライブハウスを運営する「ZEPPホールネットワーク」が名古屋市内で2ヶ所目のライブハウス開業を検討していることが報道されましたが、2019年1月現在、具体的な進展はありません。金城ふ頭へ誘致するライブハウスは、同社が運営する「ZEPP」を想定するものとします。

 

 金城ふ頭の今後を考える上では、名古屋市中心部とを結ぶ交通アクセスについても抜本的な増強を検討する必要があるでしょう。

 金城ふ頭には伊勢湾岸自動車道が東西に走り、自動車によるアクセスは申し分ないのですが、反対に公共交通機関によるアクセスは貧弱です。名古屋駅金城ふ頭駅を結ぶあおなみ線は両駅間をおよそ25分で結んでいますが、車両は4両編成で、運行間隔も平日・土日ともにすべての時間帯で10〜20分間隔となっています。

 あおなみ線ではレゴランド・ジャパンが開業した2017年度、前年度に比べて利用者数がおよそ2割増加し、1日当たりの乗車人数が約4万3,000人となりました。それでも開業前の需要予測に基づく1日当たり6万6,000人という数字には届きませんが、今後もあおなみ線の利用者数は増加傾向が続くものと予想されます。

opi-rina.chunichi.co.jp

 このため、ポートメッセなごやレゴランドの拡張によって金城ふ頭への来訪者が増えれば、いずれはあおなみ線の輸送力が限界に達することもあり得るでしょう。特に、ポートメッセなごやを100,000㎡規模まで拡張することを提案する筆者としては、現在のあおなみ線は、拡張後のポートメッセなごやで開催される大規模イベントの際に輸送力不足となってしまうことを懸念しています。

 対策としては増発や車両の増結が考えられるところですが、あおなみ線は貨物線と線路の一部を共有していることから大胆な増発が難しいことが予想されます。車両の増結も各駅のホーム長は6両まで対応可能ですが、それを超える増結は駅の大規模改修が必要となり対応できません。

 筆者としては、あおなみ線の増発や車両の増結よりも、需要の変動に応じた柔軟な対応が可能な対策が相応しいと考えており、具体的には、金城ふ頭駅から地下鉄名城線名古屋港駅までを結ぶ路線バスを開設することが現実的なところではないかと考えています。

 ちなみに、金城ふ頭駅名古屋港駅を結ぶ路線バスとして、2017年4月から2018年3月末までの間に「みなとシャトルバス」が運行されましたが、これは実証実験として運行されたもので、現在は終了しています。みなとシャトルバスが今後新たな路線バスとして再開される動きもないことから、現在この区間を結ぶ交通手段は水上バスのみとなっています。

 路線バスは需要の過多に応じた増発や減便が容易で、連節バスによる大量輸送も可能です。また、金城ふ頭から名港線名古屋港駅までの公共交通ルートができればあおなみ線不通時の代替ルートとしても活用でき、有意義であると感じます。

 

 あおなみ線自体についても、名古屋市中心部から金城ふ頭へのアクセスを向上させることが重要です。

 あおなみ線をめぐっては昨年、名古屋市金城ふ頭駅から中部国際空港方面への延伸を検討するとして話題になりました。しかし筆者は、あおなみ線中部国際空港方面へ延伸するよりも、ささしまライブ駅付近から分岐する新線を建設して名古屋市中心部の栄付近まで乗り入れることを検討するべきであると考えます。

 栄は今後、久屋大通公園の再整備事業や中日ビルの建て替え、栄広場の再開発事業といった開発事業を控え、周辺ではホテルの開業も相次いでいます。

 レゴランド開業を契機に観光拠点として注目される金城ふ頭と数々の再開発計画で再び勢いを取り戻しつつある栄とを1本の鉄道で直接結ぶことができれば、相乗効果による名古屋の魅力向上への貢献度は大きいものになるのではないかと筆者は考えます。

 

 

 リニア・鉄道館が開業する以前の金城ふ頭は広大な駐車場ばかりが目に付き、ポートメッセなごや以外に目ぼしい施設は一切ありませんでした。当然人の姿もほとんどなく、ポートメッセなごやの催事がなければ埠頭内で働く人以外の来訪者はまずいなかったことでしょう。

 それが今では、レゴランドやメイカーズ・ピアといった集客施設の開業で様変わりし、徐々にではありますが賑わいが感じられるエリアとなりつつあります。

 数年後、金城ふ頭は名古屋を代表するウォーターフロントへと成長できているのでしょうか。大型開発を控えた金城ふ頭は今、その真価が問われています。