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citypeach

桃花台とその周辺の「まちづくり」について考える

「JR春日井駅周辺地区市街地総合再生計画」について

まちづくり提案 春日井市

 JR春日井駅では現在、老朽化し手狭となっていた旧駅舎を取り壊し、東西自由通路を備えた新駅舎を建設しています。

 供用開始は平成28年度の秋頃。もうあと半年ほどで、JR春日井駅は立派な橋上駅舎へと生まれ変わります。

 私も毎日JR春日井駅を利用していますが、工事もずいぶんと進み、もうまもなく駅舎の全体像がはっきりしそうだなとわくわくしているところです(笑)

 

www.city.kasugai.lg.jp

 

 さて、JR春日井駅の橋上駅舎化と同時に、JR春日井駅周辺では駅前の再開発に向けた動きも進められています。

 平成27年2月には「JR春日井駅周辺地区市街地総合再生計画」(以下、再生計画)において、JR春日井駅を取り囲む複数の街区をそれぞれ一体的に開発し、土地の高度利用を進める方針が示されました。

 

www.city.kasugai.lg.jp

 

 現在のJR春日井駅周辺は、春日井市の中心部にありながら、人通りもまばらで終日閑散としている印象を受けます。駅前ロータリーに面し多くの乗降客が行き来する北口周辺も、駅前にこれといった商業施設はなく、居酒屋などの飲食店が点在している他は、住宅や駐車場がほとんどといった状況です。

 このため、再生計画では、駅の表側である北口を中心に駅周辺の土地の高度利用を促し、市内外から駅を訪れる人を対象とした様々な都市機能を誘導するとともに、子育て世代を中心に駅周辺へのまちなか居住を推進することで、人口30万人都市・春日井市の玄関にふさわしいにぎわいある駅前づくりを進めていくことが目指されています。

 少しかしこまった文章になってしまいましたが、ようはJR春日井駅周辺の街区を再開発し、そこに集合住宅や商業施設、生活利便施設を集め、暮らしやすいにぎわいあるまちづくりを進めていこうというものです。

 JR春日井駅を頻繁に利用している身としては、この事業が早く着手されてにぎわいある駅前が早く実現してほしいという気持ちが強いですが、同時に、JR春日井駅は人口30万人都市である春日井市の玄関口ですから、中途半端な事業に終止してほしくないという心配もあります。

 ということで、この記事では、今後進められるであろう再生計画について、個人的に心配している点や期待している点などをつらつらと書いていきたいと思います。

 

 

1 勝川駅との差別化

 

 まず再生計画に関して、個人的に一番心配している点は、すでに再開発事業が完了しているJR勝川駅との差別化が図られるかどうかという点です。

 JR勝川駅では、中央線の高架化事業に合わせて行われた「JR勝川駅周辺総合整備事業」により、すでに駅前の再開発事業や駅周辺の区画整理事業が完了しています。

 再開発により、ドラッグストアや食料品店などの商業施設が新たに出店し、古くからあった駅前商店街も活性化しました。再開発ビルには病院を集めたクリニックモールなども併設され、生活利便施設が集中する環境が整ったことからマンションの建設なども相次いでいます。

 結果としてJR勝川駅周辺総合整備事業は、駅周辺ににぎわいを生み出し、駅周辺への人口集積も進めたという点で、一定の効果を上げたと評価できる事業でした。

 

 そのため個人的には、JR春日井駅周辺で今後行われる再開発事業も、JR勝川駅で実施された再開発事業とだいたい同様の内容に収まるのではないかと予想しています。

 ただし、JR春日井駅の場合は、JR勝川駅とはまた異なった再開発事業を実施する必要性が高いでしょう。

 たとえば、JR春日井駅には市内外の各方面へ伸びる路線バスが多く発着し、鉄道とバスを乗り継ぐ旅客が多く存在します。近隣には市役所等の公的機関、企業のオフィスが集中する鳥居松地区があり、JR春日井駅はその玄関としても機能しています。

 このような点を踏まえると、駅周辺には生活利便施設だけでなく、バスの乗換客やビジネスパーソンが軽く時間を潰せるカフェや飲食店が充実していると良いかもしれません。企業や市民などが利用できる展示ホールを併設し、催し物や企業の展示会等が開催できる施設があってもいいと思います。

 

 JR勝川駅における再開発事業では、住環境を向上させる生活利便施設の集約に力が入れられていたように思います。それは、駅を利用する人向けの施設ではなく、駅周辺に暮らす人をターゲットとした施設です。

 JR春日井駅の再開発事業でも、そのような生活利便施設を集約させることで住環境を向上させることは重要です。ただし、JR春日井駅の場合は、JR勝川駅よりも駅を単に通過するだけの人が多いことを踏まえ、それにふさわしい施設の整備を目指すことが大切であると考えます。

 

2 鳥居松地区との一体的なにぎわい創出

 

 JR春日井駅北口から徒歩20分ほどに位置する鳥居松地区。先程もさらっと触れましたが、この地区には春日井市役所をはじめとした公的機関や、さまざまな企業のオフィスなどが集中しています。古くからの商店街も残る春日井市の中心街であり、JR春日井駅春日井市全体の玄関であるとともに、この鳥居松地区へ向かう際の玄関としても機能しています。

 JR春日井駅の再開発においては、この鳥居松地区との連携、一体的なにぎわい創出を期待したいところです。実際、平成19年に春日井市が策定した「春日井市都市交流拠点将来ビジョン」においても、駅周辺地区と鳥居松地区とを連結したまちづくりが重要であるとの指摘がなされており、ビジョンの中で具体的な方策として、バス交通の利便性向上や歩行空間の整備、商店街の再生等が挙げられています。

 現在でもすでに、JR春日井駅と鳥居松地区との間には朝夕を中心に名鉄バスの路線バスが多く発着しています。しかし、バスが走行する道路は朝夕を中心に道路の混雑が激しいため、まずはこのような点が改善されることが望ましいと思われます。

 例えば、駅周辺の街路を再整備し、バス・トランジットモールを用いて渋滞の激しい区間を迂回させます。バス・トランジットモールを整備することにより、同時に駅から鳥居松地区までの歩行空間も確保できるでしょう。

 

▼バス・トランジットモール整備区間(例)

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赤い線で示した道路にバス・トランジットモールを導入する。導入に際しては、周辺交通への影響などを考慮する必要がある。

 

 このほか、都市機能を集積させる駅周辺と、商店街の再生が課題となっている鳥居松地区との関係性をどのようなものにし、それぞれの地区をどのような方向性で開発していくのかという点についても検討しておく必要があると思われます。

 駅周辺に商業施設が集積しているのに、鳥居松地区にさらに商業施設を集積させるとなれば、共倒れになりかねません。それぞれの地区の開発方針をあらかじめ定め、両地区の開発がともに相乗効果を生むような計画を立てなければならないと思います。

 

3 市内最大のバスターミナルとしての機能強化

 

 JR春日井駅には、名鉄バスやあおい交通の運行する路線バスが乗り入れており、毎日バスと電車を乗り継ぐ利用客が多く行き交います。しかし、毎日多くの路線バスが発着する北口の駅前ロータリーは手狭で、バスを待つスペースも分かりにくくなってしまっているのが現状です。

 JR春日井駅北口の駅前ロータリーについては、再生計画の中でも再整備の方針が示されています。今のところ具体的な事業の中身は決まっていないと思われますが、少なくとも路線バスの待合スペースやタクシープール、待車スペースなどを拡張し、広々としたゆとりある駅前広場に整備し直すといった感じになるのではないでしょうか。

 現状の駅前ロータリーはバスや一般車両、タクシー、歩行者や自転車が入り乱れて大変危険な状況となっているので、駅前広場の再整備は、駅舎の橋上化事業が完了した後速やかに着手してもらいたい事業であると個人的には思っています。

 同時に、駅前広場の再整備にあたっては、駅北口を市内最大のバスターミナルとして機能させるべく、一歩踏み込んだ整備方針を示してもらいたいと考えています。

 たとえば、バスの待合スペースに電光掲示板を設置し、バスの発着状況をひと目で確認できるようにする、名鉄バスの定期券購入窓口やmanacaのチャージ機を設置してバス利用者の利便性向上に努める、あおい交通の運行する桃花台バスや名古屋造形大学のシャトルバスを駅前ロータリーまで乗り入れさせる、といったことが考えられます。

 

▼バスターミナルに設置される電光掲示板のイメージ

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以前の記事でも掲載した写真で、富山市富山駅前のバスターミナルに設置されている電光掲示板です。このようなバスに関する総合案内を行う空間に、定期券の購入窓口やmanacaのチャージ機等を設置します。

citypeach.hatenablog.com

 

 

 

 以上、JR春日井駅周辺地区市街地総合再生計画について、3つの観点からいろいろ書かせていただきました。

 春日井市というのは、人口30万人を超える比較的大きな都市です。首都圏や関西圏で人口30万人を超える都市となれば、駅前には大型の商業施設やテナントビルが立ち並び、タワーマンションなども存在する立派な繁華街を有することが多いです。

 都市構造や都市圏の経済規模、地域の特性の違いなどもあるため単純に比較することは難しいですが、それでも現在のJR春日井駅前の様子は、30万人が暮らす都市の玄関口としてはあまりにも寂しいと感じざるを得ません。

 新駅舎の完成、そして駅周辺の再開発事業を契機に、駅前に様々な商業施設が集積し、多くの人が行き交い、にぎわいと活気であふれるターミナル駅に生まれ変わることを期待したいと思います。

名古屋の都心にはBRTが必要だ

まちづくり提案 名古屋市

久しぶりの更新となります。

本ブログは愛知県小牧市東部、桃花台ニュータウン近辺を中心としたまちづくりについて考察や提言を行うブログとしてこれまで更新を続けてきましたが、見出しの通り、今回の記事では少し遠出をして、名古屋市内のまちづくり、特に名古屋都心部の公共交通について記事を起こそうと思います。

 

 

さて、見出しの通り、今回の記事は名古屋都心部へのBRT導入を提言する内容となっています。

BRTとは、バス・ラピッド・トランジット(バス高速輸送システム)と訳されるバスを基本とした交通システムを指します。近年は、LRT(ライト・レール・トランジット)と並んで都市の新しい交通機関として注目が集まる機会も多くなってきました。

国内の大都市への導入については、すでに、新潟市が連節バスを用いたBRTシステムの構築に向けて事業を進めているほか、2020年にオリンピック・パラリンピック大会の開催を控える東京都でも、都心の湾岸部にBRTを導入する構想が持ち上がっています。

また、東日本大震災による津波の被害を受けたJR気仙沼線大船渡線では、一部区間にBRTを導入する形で仮復旧がなされるなど、近年では国内でも様々な形でBRTの導入例が見られるようになってきました。

 

▼国内でのBRT導入実例及び導入に向けた主な動き

新たな交通システム 新潟市

都心と臨海副都心とを結ぶBRTについて/東京都都市整備局

気仙沼線・大船渡線BRT(バス高速輸送システム):JR東日本

 

この一方で、名古屋市では現在、2027年の中央リニア新幹線開業に向け、都心部回遊性を高めるためLRTの導入について検討が進められています。

 

なごや交通まちづくりプラン | 移動手段の多様化

名古屋に路面電車が復活?燃料電池式路面電車・LRTの運行を市が検討 | 名古屋情報通

 

具体的な導入についての構想や計画が策定されているわけではありませんが、名古屋市住宅都市局が2014年に策定した「なごや交通まちづくりプラン」においては、LRT・BRT等の路面公共交通の導入という文言が盛り込まれており、リニア開業を見据え新たな公共交通機関の整備について市が前向きな姿勢を示していることが分かります。

これとは別に、2011年には名古屋市の外郭団体である名古屋都市センターが「名古屋都心ビジョン2030」と題した提言をまとめています。

この中では、新たにLRTを導入し、これを主軸に据えて都心に賑わいを創出していくことが提言されていることから、これが名古屋市内部で路面公共交通の導入について検討する際の叩き台となったのかもしれません。

 

名古屋都心ビジョン2030|名古屋都市センター

 

このように、現在の名古屋市では、BRTよりもむしろLRTの導入に前向きな姿勢が示されているわけですが、個人的には、名古屋都心部に導入すべきなのはLRTではなく、BRTの方が適切なのではないかと考えています。

では、ここからは、この記事の核心部分となる、名古屋の都心にBRTを導入すべきであると考える理由と、BRTを導入するならばどのように導入すべきかという点について、考えを述べていこうと思います。

 

まず、なぜ名古屋の都心にはLRTではなく、BRTを導入すべきであると考えるのか。

その理由としては、

 

  • 整備時のコスト面においてLRTよりも優位である
  • 名古屋都心部は幅員の広い道路が多く、BRTに必要な専用レーンの確保が容易である
  • 栄付近まで乗り入れている基幹2号系統(新出来町線)との互換性がある

 

といった点が挙げられます。

LRTとは、いわば路面電車の進化版です。軌道を敷設し、架線を張らなければ車両を走らせることができません。

これに対し、BRTでは道路の中央に専用レーンを整備することでBRTとしての設備を整えることができるので、整備時のコストという点ではBRTが優位に立つと考えられます。

とりわけ、名古屋都心部はもともと幅員の広い道路が多いためBRT専用レーンの用地確保が容易でしょうし、名古屋市ではすでに基幹2号系統(新出来町線)において中央走行方式のバスレーンが採用されていることから、新たにBRT専用レーンを整備することへの市民の理解も得やすいのではないかと思われます。

もちろん、LRTにしてもBRTにしても、道路の中央に用地を確保する必要があることから、走行帯の整理や交差点付近の改良、停留所の整備、信号機の整備などのコストが発生することは避けられません。

また、整備時のコスト以外にも、運行に伴うランニングコスト、運転士の確保のしやすさなどの点を比較することも欠かせません。ただし、個人的にはこれらの点を考慮してもなお、BRTはLRTよりも優位に立っているのではないかと考えています。

 

コストと並んでBRTの優位性が発揮されているのが、既存の交通網との連動のしやすさ、特に、名古屋市独特のバス交通システムである「基幹バス」との連携のしやすさでしょう。

ご存じの方も多いでしょうが、名古屋市内には基幹バスと呼ばれる珍しいバス交通システムが構築されています。

 

基幹バス (名古屋市) - Wikipedia

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名古屋市における基幹バス交通の高度化等検討調査 報告書(中部運輸局)より

 

基幹バスの最大の特徴は、専用走行レーンによって一般の道路交通からバスの走行を切り離そうとするところにあります。

そして基幹2号系統(新出来町線)においては日本でも珍しい中央走行方式のバスレーンを採用しており、この路線は日本におけるBRTの先駆け的な存在としても知られています。

 

BRTはバスを基盤とした路面公共交通であるため、名古屋市の基幹バスとの相性は抜群に良いと思われます。

特に、栄付近まで中央走行方式のバスレーンが伸びる基幹2号系統(新出来町線)は、BRTとインフラを共有することや、BRTシステムに組み込んでの一体的な運用を行うことも可能であると思われます。

導入の仕方次第では、基幹バスとBRTを組み合わせたより高度なバス交通システムを構築できる可能性を持っていますし、このような点でも、BRTはLRTよりも優位に立つものであると考えています。

 

以上が、名古屋都心部にBRTを導入すべきであると考える理由になります。

では、実際に名古屋都心部にBRTを導入するならば、どのようなルートやどのような仕組みで導入するのが最も望ましいのでしょうか。ここからは、具体的な導入の構想や手法について述べていきたいと思います。

 

都心の要所を的確に結ぶ運行ルートの設定

 まず、運行ルートについては、以下の地図に示すような路線を設定することが望ましいと考えます。

 

 

運行ルートは、環状線・広小路線・新出来町線の3ルートとし、環状線、広小路線については新設、新出来町線は基幹バスとしての現在の運行形態をそのままに、BRT路線として一体的に運用することとします。

名古屋都市センターがまとめた「名古屋都心ビジョン2030」では、LRT若宮大通に通す運行ルートが示されていました。しかし本案では、矢場町交差点から若宮大通には侵入せず、そのまま南下して大津通大須通・伏見通を走行し、広小路通を経由して名古屋駅に向かう環状ルートを想定します。

大津通を南下することで、観光スポットである大須を訪れる観光客の利便性を向上させることができますし、広小路通を経由することで、再開発や催し物などで注目が集まる納屋橋地区へのアクセスを向上させることができると考えられるためです。

また、広小路通を活用して名古屋駅ー千種駅間にBRT路線を整備することで、並走する地下鉄東山線の混雑を緩和するとともに、広小路通を中心とした栄地区一帯の回遊性を高めることもできます。買い物や娯楽を目的として広小路通を訪れる地元の旅客を取り込むことで、広小路通全体に行きわたるにぎわいの創出を目指します。

ちなみに、環状線と広小路線については、BRTの車両のみがBRT専用レーンを走行するものとし、並走している一般の路線バスの乗り入れ等は行わないものとします。

 

専用レーンと連節バスによる本格的なBRTの確立

新設する環状線・広小路線では、可能な限り道路中央にBRT専用レーンを設置し、一般の交通から完全にバスの走行を隔離することが望ましいと考えます。幅員の都合などでBRT専用レーンの導入が難しい区間については、新出来町線と同様の中央走行方式のバスレーンを採用し、バスの定時性・速達性を確保することとします。

また、輸送力を強化するため、環状線・広小路線で用いる車両は連節バスを中心とします。連節バスに燃料電池式の車両を採用すれば、BRT自体を観光資源とすることもできるかもしれません。

新出来町線においては、従来通り中央走行方式のバスレーンを用い、従来と同様に基幹バスを運行します。

ただし、BRT路線図や乗換案内においては他の路線と一体的に表記し、BRTを頼りに名古屋市内を観光する観光客らに徳川園や文化のみち、ナゴヤドームへのアクセスルートとして利用してもらえるよう、初めての人にも利用しやすい環境を整備していきます。この際には、BRT路線に駅ナンバリングや路線カラーの設定を行い、地下鉄と同等の交通機関として取り扱うことが望ましいかと思われます。

この他、停留所では電光掲示板による発着案内を行い、インターネットを通じたバスロケーションシステムを用いて運行情報の提供を行うことで、利用者の利便性向上を図ります。

 

料金形態

環状線・広小路線の料金は、市バスと同様に一律210円とします。新出来町線についても、現在の料金形態をそのまま引き継ぐものとします。

BRT路線全線を市交通局の各種一日乗車券の対象とするほか、新出来町線において実施されている共通乗車制度(乗継割引)を他のBRT路線においても実施することを検討します。

 

その他

広小路通や大津通の南側については、BRT導入を契機に将来的なトランジット・モール化を目指します。

広小路通や大津通の南側は、路面店が多く立ち並び、終日多くの人通りで賑わうことから、これらの通りを歩行者中心の空間とし、都心部により一層のにぎわいを創出していくことが望ましいと考えます。

 

トランジットモール - Wikipedia

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兵庫県姫路市トランジットモール

 

 

さて、以上が、名古屋都心部にBRTを導入しようという提言の中身になります。

 

 

名古屋都心部は東京や大阪に比べて比較的コンパクトなエリアに様々なスポットが収まっています。繁華街として賑わう名駅や伏見・栄、昭和レトロな風情が残る円頓寺や四間道、多くの観光客で賑わう名古屋城白川公園大須など、比較的それぞれのスポットがそれほど遠くない距離に位置しています。

そんなコンパクトな名古屋都心部における移動は、多くの場合が徒歩と地下鉄に依存しています。特に街に不慣れな観光客はその傾向が強まるのでしょう。

しかし、比較的コンパクトな都心において、地下鉄は少々オーバースペックな交通手段なようにも思います。階段の登り降りや構内の移動、行先によっては2~3区間の移動のために乗換が発生してしまうのが、名古屋都心部の地下鉄の不便なところだと個人的には感じます。

LRTやBRTといった路面公共交通の導入は、このような現状を一挙に解消し、なおかつこれまで地下鉄の駅から離れたところに位置していたスポットにも気軽に足を運んでもらうことができるという大きなメリットを生むことでしょう。市内に点在するスポットに満遍なく人を行き渡らせるという観点からも、路面公共交通導入が持つ意義は大きいと思われます。

ただし、流行りに乗ってただなんとなく路面公共交通を導入するのでは、その多大な効果が小さくなってしまいます。

名古屋という都市の特性や、既存の交通形態との連携などを考慮にいれると、個人的にはLRTよりもBRTの方が名古屋にはお似合いなのではないかと思い、今回このような記事を起こした次第です。

 

名古屋市は、年内にも燃料電池式の車両を用いた路面電車LRTについて実現可能性の可否を判断する方針のようですが、軌道系の交通機関に固執せず、ぜひBRT(バス高速輸送システム)の導入についても積極的に検討していただきたいと思います。

今後の新図書館計画のポイントと、新たな新図書館計画への提言

小牧市 新図書館 まちづくり提案

10月4日に行われた住民投票の結果、現在の新図書館建設計画に反対する票が多数となったことを受け、小牧市は20日、これまで検討していたCCC・TRC共同事業体による新図書館建設計画(いわゆる「TSUTAYA図書館」計画)を事実上白紙撤回する方針としました。

計画が白紙撤回されたことで、今後、新図書館建設計画を巡る議論の焦点は、「小牧市にはどのような図書館が必要なのか」という根本的な部分に戻ってくることになると思われます

そしてこのステップを迎える上で重要になるのが、市民一人ひとりが求める図書館像であると私は考えています。

ただ、「市民一人ひとりが求める図書館像」と一口で言っても、最低限のポイントを抑えなければ計画をまとめる上での収拾がつきません。

そこで、小牧市の新図書館建設計画には論点となるいくつかのポイントが存在していますので、この記事では、自分の中の図書館像を整理する際に重要となるであろうポイントについて紹介していこうと思います。また、これまで当ブログでは、新図書館計画に対する筆者個人の明確な立場を示してきませんでしたので、この記事で併せて示していきたいと思います。

 

まず、新図書館建設計画について考えるときに重要となるポイントは3つあると私は考えています。

もちろん、これはあくまでも筆者の個人的なポイントです。他にも重要だと考えるポイントがある人は、コメントでそれを示していただければ嬉しく思います。

 

 

まず1つめは図書館の建設場所

これについては、現行の計画が前提としているA街区への建設とラピオへの入居という2つの考え方が存在していると考えています。

 

1つめと関連して、新図書館の計画を新しく作るのか、過去に作られた既存の計画に沿って進めるのか、という点も重要なポイントとなります。

具体的には、平成21年に策定された「新小牧市立図書館建設基本計画」(以下、基本計画とする)に沿ったものとするのか、そうではないのかといったところが論点となるでしょう。

ちなみに、基本計画はA街区への建設を前提としたものであるため、仮にラピオへの移転を目指す場合、基本計画そのものの大幅な見直しが必要となってきます。

 

3つめは建設費の課題です。

今回の住民投票においては、42億円にものぼる巨額の建設費が一つの焦点となりました。図書館建設に関して小牧市には約20億円の積立金が存在しているとのことですが、それを全て使ったとしても22億円は市が一般会計や市債によって負担することになったわけです。

いくらなら妥当か、あるいはいくら以内での建設なら適切か、という点も、図書館像を膨らませていく中で重要なポイントとなるでしょう。

 

個人的には、小牧市に求める図書館像を考えるときにこの3つのポイントを抑えながら考えていけば、具体的な計画への賛否を示すための図書館像がイメージしやすくなるのではないかなと思います。

ただ単に「どんな図書館がいいのだろう」と考えてもそれはぼんやりとしてしまい、政策的な判断基準にはなりえません。現行の図書館計画が住民投票で否決に至った理由などを踏まえると、上に挙げた3つのポイントは、小牧市に見合う図書館像を自分の中で膨らませていく中で、“議論の分岐点”になるものだと思っています。

 

 

 

さて、ここからは筆者個人としての図書館像について紹介していきたいと思います。

上のポイントに沿いながら書いてありますので、記事を読んだ人が自分の図書館像をイメージする際の参考になれば幸いです。

 

 

まず私は、新図書館の建設場所はA街区が適当であると思っています。

A街区は名鉄小牧駅の正面に位置しており、自家用車だけでなく、鉄道やバスなどからでも便利に利用できます。現在は小牧駅西駐車場として利用されている土地のため、用地の確保が容易であるという点も、A街区への建設を支持する理由です。

ラピオへの移設については、現段階ではテナントが入居していることや、蔵書スペース(開架・閉架書架スペース)・閲覧・事務スペースの確保といった点で検討すべき課題が多いと感じるため、ラピオが図書館として相応しい構造かを検証していない時点では、一から図書館としての設計が可能なA街区への移転・建設を支持したいと考えています。

 

そして、自分の図書館像の基本的な部分はすべて、平成21年度に策定された基本計画に沿ったものとなっています。これは、この基本計画が、市民を交えて何度も行われた検討の中で形成されたという点を重視したものです。

ただし、この基本計画には再度、ある程度の修正を加える必要があるでしょう。というのも、基本計画の策定からすでに6年余りが経過しているため、小牧市や社会情勢の変化を確認し、見直すべき点があれば見直すといった過程がどうしても必要になるのだと思われます。

特に、先の住民投票により、図書館運営に民間事業者を取り入れるか否かという点については市民の間に一定の世論が形成されたのではないかと分析しています。

おそらく、平成21年当時の基本計画策定段階では先行事例が不足していたことなどもあり、この点についての議論が深まっていないと思われるので、改めて指定管理者制度PFI方式といった民間活力導入の是非について、基本計画の見直しを含め、市民を交えた評価・検討がなされることが必要になるだろうと感じるところです。

 

ちなみに、ここでの民間事業者を取り入れるか否かという論点は「TSUTAYA図書館」への是非を意味するものではなく、大枠で見た「指定管理者制度」や「PFI方式」の導入への是非を指すものです。

CCC参入によるここまでの騒動により、今の小牧市では新図書館建設への民間活力導入が批判的に捉えられかねない情勢になっていますが、個人的には運営費の削減やサービス向上といった面においては、依然として民間事業者のノウハウを活かす利点も大きいと評価しています。この点については今後、CCCによる「TSUTAYA図書館」から離れ、メリットとデメリットを分析・比較しながらの議論が深まってほしいところではあります。

 

ちなみに、小牧市における新図書館建設計画においては、平成20年~21年にかけて、基本計画を策定する段階で指定管理者制度PFI方式による新図書館の建設・運営がある程度は検討されてきましたが、当時は制度に対する認識の薄さや効果の検証が不十分であるとの理由で、従来通りの市直営方式による運営が決定した経緯があります。

また、図書館へのPFI導入事例としては、2002年に桑名市立中央図書館でPFI方式による図書館建設が行われています。

 

新しい形の図書館-PFI-(三重県桑名市立中央図書館):文部科学省

 

 

そして最後に重要なのが、建設費の問題です。

私はA街区への新図書館建設を支持していますので、費用もそれなりに多額になることを想定しています。素人の判断にはなりますが、新図書館の建設費用は、30億円程度に収まってくれればいいなというところです。

ちなみに、平成20年に整備された日進市の新図書館は約29億円(日進市立図書館:図書館年報 平成25年度のあらましより)、平成19年に建設された兵庫県伊丹市の新図書館は約27億円(詳細は下記サイトの引用内で紹介)で建設されたそう。ここから一般的な図書館建設費の相場を割り出すのはやや暴力的ですが、小牧市の積立金が約20億円であることや、建設される土地がすでに市が管理している市営駐車場ということなどを勘案すると、現在の建設コスト上昇を踏まえても容認できる建設費は30億円が上限なのではないかと思うところです。

抑制の具体的な方策としては、図書館としての最低限の使いやすさ・居心地の良さを確保しつつ、設計や内装においてはなるべく簡素な施設に仕上げるなどの方策が考えられます。また、先ほど挙げたPFI方式を採用すれば、建設段階から費用を圧縮する効果が期待されます。

ただ、建設費という問題は、額がいくらだからダメだとか、他の市の額と比べて高いからダメだということではありません。最も深刻なのは、建設費を市民に分かりやすく説明することが極めて難しいということです。

この、建設費の説明という点に関しては、以下のサイトでおもしろい指摘がありましたのでご紹介したいと思います。

 

CA1834 - 図書館整備「反対運動」とその争点 / 桑原芳哉 | カレントアウェアネス・ポータル

 

例として、兵庫県伊丹市の新図書館整備を取り上げる。

2007年に新図書館整備が計画された時点での設計費・工事費等の事業費は約27億円とされていた。また、新図書館開館年次である2012年度の図書館費当初予算額は約2億6,000万円とされている。単純な試算として、仮にこの費用で整備され、40年間運営されたとすると、40年間の総経費は131億円、1年間の経費としては3億2,750万円となる。

伊丹市の人口は約20万人であるので、単純な試算では図書館整備・運営に係る市民1人当たりの負担額は年間1,600円余り、月額にすれば約140円となる。

このような試算を提示することが、整備費に関する大きな批判に対して効果的な説明となる可能性を追求する必要があると考える。

 

また、整備費という「インプット」に対する「効果(アウトカム)」を示すことも追求する必要がある。

図書館整備を計画する自治体の説明資料や首長の会見での発言等を確認すると、「図書館は将来への投資」「住民の知的財産」といった抽象的な言葉により図書館の必要性を説明しているケースがあるが、このような説明が住民や議会に対して図書館への理解を高めることに結びついているとは考えにくい。

保育所の整備については、近年、子どもの声や送迎の車に関連して近隣住民の理解が得られない、という事例が多く見られる。

このような「迷惑施設」としての対応に加えて、保育所の整備にあたっては、一般に、1か所整備することにより待機児童が何人減少する、という具体的な数字により説明が行われており、その結果、保護者(主として母親)の就労機会が増大するという事業効果が推察され、その必要性についての理解を広めることにつなげている。

このような、施設整備の「効果」に関する「わかりやすい説明」を考える必要がある。

 

確かに、このように具体的な数字などを提示した説明がなされれば、たとえある程度の建設費が見込まれる状況であっても、市民の理解がスムーズに得られる可能性があります。

若干本題からは逸れますが、小牧市の新図書館計画が今回の住民投票に至った経緯には、このような行政側の説明力不足があったことは否めません。市の説明力の向上が、円満に新図書館を建設する鍵を握っているのではないかと個人的には考えています。

 

 

さて、以上3つのポイントに沿って個人的な図書館像を提示させていただきました。

この他に、上のポイントから外れる自分なりの図書館像を2点だけ付け加えて、記事を締めくくろうと思います。

 

先ほど図書館の建設場所をA街区としたのにはもう一つ理由があります。

これは、TSUTAYA図書館でも話題になった「街のにぎわい創出につながる」という側面を重視したものです。

ただし、私が思い描いている図書館像による「街のにぎわい創出」は、TSUTAYA図書館によるそれとは若干異なります。

TSUTAYA図書館の場合、図書館それ自体が人を集める装置として機能することが想定されました。一方、ここで私が考えているのは、たとえば、図書館の敷地に設けた公共空地をイベントスペースとして活用できるようにし、これを市民などに開放することで図書館の前で様々なイベントが実施できるようにする、といったようなものです。

私の思い描く図書館像では、図書館はあくまでも図書館です。

しかし、その立地が中心市街地の一等地という事情を考慮し、図書館に多くの人が集まる仕掛けを組み込むことで、中心市街地のにぎわい創出に活用することが良いのではないかと考えています。

 

また、TSUTAYA図書館では図書館内に併設されるカフェの必要性が大きく問われましたが、勉強目的などで長時間滞在する図書館利用者にとってみれば、飲食ができるスペースが近くにあることはありがたいことです。

ですので、カフェの設置についても検討事項として加え、たとえば、公共空地でのオープンカフェの実施や、街路に面した路面部分へのテナントとして図書館の閲覧スペースとは分離された形で入居させるなど、その方法についていくつか検討してほしいと思います。

 

以上がだいたい自分が小牧市に求めている新しい図書館像になります。

 

 

 

現在、新図書館建設計画は住民投票の結果を受けて一旦ストップしていますが、この先の計画進行についてのイニシアチブは市民が握るべきものです。

今後、市民を交えた検討や見直しが行われるときに備えて(行われるかはわかりませんが)、市民一人ひとりがどんな形であれ、新図書館建設計画に関心を持つことが大切になります。

住民投票で自らの一票を反対に投じた人は、なぜ新図書館建設計画に反対したのか、どのような図書館を求めているのかを、そして賛成に投じた人は、なぜ「TSUTAYA図書館」計画に賛成したのか、その理由をきちんと整理しておかなければなりません。

もし市民が今後も引き続き活発な行動や主張を行えば、新図書館は本当の意味で市民が誇れるものになると確信しています。

 

旧桃花台線インフラ跡地活用案② 『旧小牧駅を小牧都市センターとして再利用する提言』

旧桃花台線 小牧市 まちづくり提案

桃花台線のインフラを撤去した後に生じる跡地の活用について考える記事、第二弾。

今回は旧小牧駅について考えていきたいと思います。

 

桃花台線小牧駅の駅舎は、名鉄小牧駅と名鉄小牧ホテルの東側に隣接しており、名鉄小牧駅東口や駅ビルとなっている名鉄小牧ホテル1階部分の東西自由通路を意識して、機能としてはそれらとほとんど一体化した造りとなっています。

駅舎の1階部分には改札口の他、東西自由通路を挟んだ向かい側に小牧都市センターが入居しており、小牧市役所小牧駅出張所や少年センターが業務を行っています。

 

施設案内 小牧都市センター 小牧駅出張所|小牧市

施設案内 小牧都市センター 少年センター|小牧市

 

 

今回おこなう提言は至ってシンプルです。

旧小牧駅の駅舎は撤去せずに、都市センターとしてそのまま再利用するのです。

加えて、旧小牧駅は名鉄小牧駅の東口と小牧駅バスターミナルとに挟まれた場所にあり、名鉄小牧線とバスの乗り継ぎの際には必ず経由する場所になっていますので、駅舎に改装を施し、こういった乗り継ぎ客のための待合スペースと、市内の観光情報やバスの乗換などについての簡単な情報提供の場としての活用も併せて提言します。

 

 

具体的な提言の内容としては、まず、旧改札口や駅員の事務室、ホームへの階段などがあった1階南側(折り返しループ側)に、バス乗換客用の待合スペースを設け、ここに市内の観光情報案内板とバスの乗換案内板を併設させます。

 

▼参考:観光情報案内板・乗換案内板のイメージ(JR富山駅前バスターミナル)

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JR富山駅前のバスターミナルに設置された各種案内板の様子。

バスの路線案内や市内の様々な情報を提供する表示の他、電光表示板を利用したリアルタイムでの発着状況が提供されている。

 

前述のとおり、旧駅舎の1階、桃花台線の改札口や券売機などが置かれていたスペースは名鉄小牧駅東口とバスターミナルに挟まれているため、バスと名鉄小牧線を乗り継ぐ人がその前を必ず通過する場所になります。

また、名鉄小牧駅を発着する各路線バスの運行頻度はそこまで高くないため、その間の数十分、座って雨風を凌げる場所を提供できれば、バス利用者の満足度向上に寄与するのではないかと思われます。

そして、待合スペースでバスの発車を待つ人をターゲットに、電光表示板を使ってバスの発着情報、市内の観光情報、各種行政情報、イベント情報などを効率よく提供するのです。

ちなみに、電光表示板はコストがかかる分、柔軟な活用が可能という利点があります。例えば、大雨や地震などの災害時には緊急の情報提供を行うことも可能になりますし、企業の広告などを併せて表示すれば一定の広告収入を得ることもできます。

 

 

そして、小牧駅を東西に貫く自由通路を挟んだ向かい側、旧駅舎の北側(桃花台桃花台センター駅方面側)に入居している小牧都市センターと少年センターについては、多少の改装を施して、そのまま運営を続けることとします。

桃花台線の廃止後も旧駅舎の1階部分にそのまま入居している都市センターは、旧小牧駅を撤去する際、一時的に移転する必要が生じてしまいます。

しかし、旧小牧駅を改造してそのまま活用することができれば、移転先の確保や移転費用という問題は生じません。

 

以上が、とてもシンプルなものとなりますが、旧小牧駅の駅舎に関する提言です。

この提言に基づいて旧駅舎を再整備する場合、撤去が必要になる部分は、折り返しループや駅に接続されている高架橋、駅舎のホームや軌道跡に留まり、駅舎の本体部分は改装を施せばそのまま利用できると見込んでいます。

市民サービスを継続的に提供する上でも、インフラ撤去にかかる費用を少しでも圧縮する上でも、旧小牧駅の駅舎は可能な限りそのまま活用すべきであり、その範囲内で新たにバス利用客の待合スペースや情報提供スペースを充実させようというのが、この提言の核心部分となっています。

 

 

 

 

最後に、インフラ撤去に関して気がかりなポイントを、以前の記事(下)に追加する形で1つ書いておきたいと思います。

 

citypeach.hatenablog.com

 

それは、小牧市はあらかじめインフラ撤去後の跡地活用の方針を、愛知県や市民に対して示しておく必要であるのではないかという点です。

インフラ撤去の事業そのものは、おそらく愛知県が主導して行われるものになるかと予想していますが、本記事でした指摘のように、インフラの完全な撤去によって不都合が生じ得る部分については、市が県と調整を図って解消する必要があるわけです。

しかし、この調整が市の準備不足によってできないとなれば、今回の提言に関して言えば、旧小牧駅の駅舎撤去費用に加えて一時的な都市センターの移転費用が生じてしまい、もしその後に都市センターを元ある場所に戻すとなれば、そのための費用も必要になってしまいます。

このような余分な手間と経費を発生させないためにも、可能な限り市は早め早めにインフラ撤去に関する方針をまとめておくことが重要なのではないかと考えています。

 

新たな「新図書館建設計画」に向けて

小牧市 新図書館

10月4日、小牧市議会議員選挙に併せて行われた新図書館計画に関する住民投票が即日開票され、現在の新図書館建設計画に反対する票が賛成票を上回りました。

この結果、今後市は新図書館建設計画の大幅な見直しを迫られることになると思われます。

今後の新図書館計画については、個人的には、平成21年3月に策定された「新小牧市立図書館建設基本計画書」を軸に建設されることが望ましいと思っていますが、この基本計画は策定から6年ほどが経過しているため、再度社会情勢や小牧市の置かれている環境の変化などを確認しながら、見直すべきところがあれば見直すといった作業が必要になるかなと感じます。

一方、現在の新図書館建設計画に賛成する票も相当数あることから、CCCが参画して策定された新図書館建設計画についても、改めて市民を交えての評価や過程の検証などが行われるべきなのではないかとも思っています。

 

 

 

さて、これは余談なのですが、小牧市でのTSUTAYA図書館騒動と時を同じくして、神奈川県海老名市の「海老名市立中央図書館」でも、TSUTAYA図書館を巡る騒動が巻き起こりました。

その原因は、図書館に置かれる本。図書館の存在理由は本・資料の所蔵とその閲覧の提供にありますので、まさにこちらの騒動は図書館の根幹を揺るがす騒動だと言い切ってしまっても良いものだと思います。

 

www.asahi.com

 

海老名市立中央図書館で巻き起こっている騒動の原因は、簡単に言ってしまえば、図書館に置かれるべきでない本があちこちに置かれているというところにあります。

上記の朝日新聞ネット版記事にもあるように、「タイ風俗の案内書」なる本は、公的施設である市立図書館に置くべき本ではないでしょうね。

 

実はTwitterなどのSNSでは、これよりも前からすでに、元祖TSUTAYA図書館である武雄市図書館(佐賀県武雄市)の選書の不可解さについて指摘がなされていました。

というのも、SNSではすでに、武雄市図書館が購入している図書の中に数年前の資格試験対策の本だとか、Windows95のように古いOSの使い方ガイドだとか、誰もが見ても図書館としておかしい図書が購入されているとして話題になったことがあります。

 

togetter.com

 

この選書の不可解さがTSUTAYAの在庫が図書館に押し付けられているのではないかとの疑いに繋がり、9月10日にはCCCが「より精度の高い選書を行うべき点があった事を反省しております」とのコメントを発表するまでに至っています。

 

出典:武雄市図書館の選書でCCCが異例の「反省」 愛知県小牧市「TSUTAYA図書館」計画は住民投票へ

 

このような動きを見ていると、図書館という行政サービスは一体誰のためのものなのかという憤りのようなものを感じてしまいますね。

 

 

 

さて、今後小牧市には、ひとまず白紙に戻った新図書館建設計画をどのように再スタートさせていくかという課題が待っています。

 これまで進められてきた新図書館建設計画は一旦白紙に戻りましたが、これはあくまでも、TSUTAYA図書館に関する計画をゼロベースで見直すものです(前回の記事に詳しく書いてあります)。

 

citypeach.hatenablog.com

 

今後も図書館の移転・建設に関する計画は形を変えて進行していくことになりますので、住民投票で反対に投票した人も賛成に投票した人も、今後も引き続き新図書館建設計画の動向を気にかけていただきたいと思います。

 

当ブログでも、私たち市民にとっての最善の図書館が建設されることを願い、今後も新図書館建設計画に関する記事を、微力ながら発信し続けていきたいと思います。

小牧市 「TSUTAYA図書館」をめぐり住民投票実施へ

新図書館 小牧市

9月10日、小牧市議会で新図書館建設計画を白紙に戻すことについて住民の是非を問う住民投票条例案が可決されました。

これに伴い、10月4日の市議会議員選挙と同時に新図書館建設計画に関する住民投票が行われることとなりました。

この動きに関して、少しややこしい話を2点ほど、できる限り分かりやすく解説させていただきます。

 

 

なぜ住民投票が行われるのか

まず1点目、そもそもなぜ住民投票が行われるのか。

今回の住民投票は、市民から「新図書館建設計画を白紙にすることに関する住民投票条例制定請求」という直接請求がなされたことによるものです。

地方自治法が定める直接請求の要件を満たす署名が集まったことで、市長は新図書館建設計画の白紙について市民に是非を問う住民投票を実施するための条例案を提出することとなりました。

そしてこの条例案が9月10日、市議会で可決されたことにより、新図書館建設計画の白紙について市民の賛否を問うための住民投票が実施されることとなったわけです。

 

住民投票の目的は何か

2点目。ではこの住民投票は、一体何を目的にしたものなのか。

今回の住民投票条例は、新図書館建設計画自体を全て白紙撤回することを問うものではありません。
白紙に戻すことについて賛否を問うのは、現在進められている新図書館計画、すなわち「TSUTAYA図書館」に関する計画のみです。

よく分からない人も多いと思いますので、本題に触れる前に、まずこの新図書館建設計画について少し詳しく見ていきましょう。

 

実は、小牧市では、7年以上前から小牧市立図書館の移設・建て替えについて検討が重ねられてきた経緯があります。

新図書館については、平成20年には「新小牧市立図書館建設基本構想」を、平成21年には「新小牧市立図書館建設基本計画」を策定し、老朽化が進む私立図書館の移設・建替えに向けた準備が進められていました。

 

新小牧市立図書館建設基本構想|小牧市

新小牧市立図書館建設基本計画|小牧市

 

この基本構想・基本計画は新図書館の建設を見据えかなり細部まで検討を重ねたもので、その過程ではパブリックコメントや市民との意見交換会なども何度か行われたものでした。これはすなわち、市民の意見が多く取り入れられた計画だったということです。

そして新図書館の計画のあらかたについてはほぼこの段階で決定されており、残すは建設段階のみという状況でした。

しかしその後の平成26年7月、市は新図書館建設についてアドバイスを行う民間事業者を選ぶ「新小牧市立図書館建設アドバイザリー業務委託プロポーザル(連携民間事業者選定)」を実施し、同年8月26日にはこの結果としてCCC・TRC共同事業体を選定します。

これ以前の時点ですでに新図書館建設計画は一定の形でまとまっていたのですが、このアドバイザリー業務委託プロポーザルの実施により、策定されていた既存の計画は棚上げされる形となり、新たに民間事業者(CCC)によって新しい新図書館建設に関する計画が策定されることとなりました。

そして今年平成27年8月、CCC・TRC共同事業体の提案を基に新たな新図書館建設建設計画が策定され、新小牧市立図書館建設基本設計(案)として、8月17日からのパブリックコメント実施に至ったわけです。

 

新図書館の建設|小牧市

 

 

 

以上が新図書館建設計画のここまでの経緯です。

そして簡単に言ってしまうと、今回の住民投票で白紙に戻すかどうかの投票を行う新図書館計画というのは、この新小牧市立図書館建設基本設計案となります

つまり、住民投票の目的は、「箱モノやめろー!」のような安易な反対運動の一環ではなく、民間事業者によるアドバイスを排除し、当初市が策定していた新図書館建設計画に沿った新図書館建設を実施すべきか否かを問うものであるということになるわけです。

 

平成27年第3回定例会(9月議会)提出議案|小牧市

議案第100号及び議案第101号

 

上記の市議会のサイトから条例案を見ることができます。

議案第100号と議案第101号は、いずれも直接請求の内容を市議が条例案として提案したものです。

「第100号(新図書館の建設計画に関する住民投票条例の制定について)」と「第101号(現在の新図書館建設計画に関する住民投票条例の制定について)」という2本の条例案が議員によって提出され、どうやら後者(第101号案)が成立したとのことです。

ちなみに、市長が直接請求によって提出した条例案は第96号案で、市長の意見が付されたものとなっています。こちらの案は8日の市議会文教委員会で否決されましたが、一部議員が中心となって対案を作成し議会に提出する形で今回の住民投票条例が成立しました。

 

議案第96号

 

mainichi.jp

 

さて、ここで一つ疑問が残る人がいるかもしれません。

なぜ現在の新図書館建設計画を白紙に戻す必要があるのか。

それは一言で言うと、図書館の建設から運営に関する重要な事項を民間事業者に任せることについて、市民の意見が反映されていないということに尽きると私は考えています。

というのも、新図書館の基本構想や基本計画の中で民間事業者によるアドバイザリー業務委託という話は一切なく、図書館は今までどおり市が建設して市が運営するという前提で計画が策定された経緯があります。

そうであるならば、本来、市は新図書館建設アドバイザリー業務委託プロポーザル(連携民間事業者選定)を行う時点で一度新図書館計画の見直しを提起し、基本計画を修正する形で民間事業者による図書館建設・運営という事項を検討するのが筋であったように思います。

ですが、実際はそのような手続が踏まれることはなく、これまでの計画は事実上放棄された形で新たな計画が策定されてしまいました。

このような市の姿勢に一部住民が反発し、それに呼応した議員の協力もあって住民投票条例が可決されるに至ったわけです。

 

 

 

 

最後に、個人的な意見を少し。

 

確かに、「TSUTAYA図書館」という目新しさは魅力的に感じます。

自分も、地元に話題のTSUTAYA図書館ができるという発表には期待もしましたし、小牧市にはTSUTAYAもスタバもないので少しでも魅力的な街になるのなら歓迎したいという気持ちもありました。

一方で、CCCによる図書館運営には先進事例となる武雄市図書館を巡って様々な問題が表面化していることも知っていたため、その点での不安も当初から大きいものでした。

以前の記事でも述べたとおり、図書館は市民のための施設であることが第一です。そのためには、やはり建設段階から市民の意見が反映され、市民の同意が必要になります。

 

市民の意見が反映された計画を基礎にCCCが計画に参画し、官・民そして市民による活力ある図書館運営を目指せれば、というのが個人的な本音になりますが、そううまく行くものでもなさそうです。

 

ここから先は、市民の皆さんひとりひとりの判断になります。

住民投票は10月4日、市議会議員選挙と併せて実施されますので、有権者の皆さんはぜひ投票に行きましょう。

 

 

 

 

住民投票

今回行われる住民投票は、条例の改廃・制定を求める直接請求によって新たに住民投票条例を制定して行われるものです。

直接請求とは、ようは条例を改正したり廃止したり、あるいは制定したりすることを自治体の首長(市長)に要求するもので、今回はこの要求内容が「新図書館の計画を白紙に戻すか否かの住民投票を行う条例を制定してくれ」というものだったわけです。

住民投票地方自治法に規定された制度ではなく、投票結果が行政を拘束する旨の条文が条例にない限り、法的拘束力を持ちません。

すなわち、仮に結果が「白紙にすべき」であったとしても、市は必ず計画を白紙にする必要はないということになります。

実際、成立した議案第101号においても、第13条において投票結果については「尊重するものとする」との文言があるだけですので、この条例においては投票結果が行政を拘束するということはありません。

投票結果の尊重
第13条 市長及び市議会は、住民投票の結果を尊重するものとする。

 ですが、例えば大差で白紙を求める票が多かった場合や、投票率が高かった上での結果になった場合は、その意見を無視して行政運営を行うことで後の政治責任を追求されかねませんので、投票結果にはやはり重みがあります。

 

 

 

旧桃花台線インフラ跡地活用案 『国道155号線に中央走行バスレーンを整備する提言』

旧桃花台線 まちづくり提案 小牧市

先日、愛知県が小牧市に対して、旧桃花台線「ピーチライナー」のインフラを全面撤去する方針であることを伝えたとの報道がなされました。

廃止からまもなく9年がたちますが、その間ほとんど姿を変えることなく放置されてきた旧桃花台線のインフラは、ようやく全面撤去に向けて動き出すことになりそうです。

 

さて、これまで旧桃花台線のインフラについては、その一部をそのまま利活用する方向で検討が進められてきましたが、全面撤去となればこれらの検討内容も大幅に見直す必要が出てくることになります。

これまで、愛知県に設置された旧桃花台線のインフラ利活用について考える検討会(桃花台線インフラ利活用懇談会)では、国道155号線部分の高架区間約3kmを小型車専用道路に転用するとともに、国道155号線にバス優先レーンを設置するという利活用計画が提案されていました。

 

桃花台線インフラ利活用検討報告書


これは、国道155号線を通過する普通乗用車を高架でバイパスさせて交通量を減少させ、その上でバス優先レーンを整備し路線バスの定時性・速達性を確保しようというものでした。

全面撤去となれば、この提案も当然なかったことになります。

 

 

仮に今後、旧桃花台線のインフラ全面撤去が正式に決定したとすれば、インフラを巡る関心は撤去費用やその分担(愛知県と小牧市でいくら負担しあうか)、工期や周辺交通への影響にシフトするでしょう。

一方で、インフラ撤去によって多少ながらも活用可能なスペースが生じることも、個人的には忘れてはいけないところであると思っています。

特に、これまで利活用が検討されてきた国道155号線では、高架橋の撤去によって1車線分に相当する中央分離帯が活用可能となりますし、小牧駅や桃花台センター駅跡地なども、比較的人通りの多い場所にできる大きなスペースであるため、活用の余地は大きいと考えています。

こういった跡地の利用という点が、全面撤去によって生じる議論の影に隠れてしまい、せっかく桃花台ニュータウン小牧市の住民生活に資する活用法が可能であっても、それが見過ごされてしまわないかという点が、個人的に気にかかるところでもあります。

 

 

そこで当ブログでは、旧桃花台線のインフラが全面撤去されることを見越し、撤去後の跡地の活用案について何個か提言をしていきたいと考えています。

今回はその第一弾。撤去後に空地となる国道155号線の大きな中央分離帯を活用し、路線バス専用の中央走行バスレーンを整備する案について書きたいと思います。

 

 

中央走行バスレーンとは、通常、道路の左端に設置されるバスレーンを道路の中央部に整備する方式で、交差点などでの左折車や路上駐車の影響を最小限にし、バスの速達性と定時性を向上させることができます。

国内では名古屋市の基幹バス「新出来町線」でのみ導入実績がありますが、近年は「BRT(バス高速輸送システム)」の名の下、新潟市などで中央走行式のバスレーンを整備しようとする動きが出ています。

本来は慢性的に混雑する都心部の幹線道路に整備することでそのメリットを最大限に活かすことができるものですが、これをアレンジして導入することで、小牧市の東西交通軸の要としての役割を担うこととします。

 

整備区間は、国道155号線小牧原駅前の交差点ー上末東山西交差点までの約3.2km

名古屋市の基幹バスでは往復方向にそれぞれ専用レーンが整備されていますが、国道155号線では桃花台ニュータウンから小牧駅方面へ向かう方向にのみ中央走行レーンを整備し、小牧駅から桃花台ニュータウンへ向かう方向については通常のバス優先レーンを整備することとします。

これは、国道155号線はトラックなどの大型車が多く通るため、バスレーンの整備よって交差点や道路が複雑化したり、車線の幅が狭くなることはなるべく避けるのが望ましいと思われるためで、国道155号線の中央分離帯の幅がちょうど同線の車線1つ分ということを勘案すると、速達性・定時性確保の要求がより高い小牧駅方向への導入が適切であると考えます。

 

中央走行レーンの停留所も、道路の中央に整備します。

停留所は、これまでのピーチバスや旧桃花台線の駅位置を参考にしながら、東田中、東田中橋東、上末、上末東山西各交差点に、それぞれ東田中、三菱重工名誘、上末、市民球場北各停留所を設置することとします。

 

ここまでを地図にまとめると以下のようになります。

 

▼中央走行レーン導入区間と停留所位置

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A-Bの青線区間で中央走行レーンを導入。停留所は、Aの側から①市民球場北、②上末、③三菱重工業名誘、④東田中。

 

▼参考:名古屋市の基幹バス

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出典:基幹バス (名古屋市) - Wikipedia

国道155号線においては、バスレーン2車線の内どちらか1車線のみを整備する。画像上部は道路中央に設けられた停留所。

 

ただ、国道155号線の場合、停留所を設置する交差点を改修する必要が出てきます。

まず、名古屋市基幹バスのように、交差点の横断歩道と直結した停留所を設置する場合、現状の中央分離帯のスペースでは設置が困難です。

国道155号線の幅員を考えると、交差点付近の歩道を若干狭める形で車道を拡幅したり、あるいは車線の幅を多少縮めるなどして停留所を設置するスペースを確保する必要がありますので、中央走行レーンの導入について考えられる技術的な課題はまずこの1点です。

この提案では中央走行レーンの設置は一方方向にのみとするため、交差点の改修は小規模で済むでしょう。そうはいっても、歩道を狭める場合には電柱や街路灯を移設したりする必要がありますので、その辺りが中央走行レーン実現の物理的なハードルとなります。

 

▼東田中交差点の現況(Google Mapsストリートビューより)

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東田中交差点東側に停留所を設置する場合、画像中央の分離帯にバスレーンと細長い停留所を設ける必要があるが、中央分離帯のみの幅ではおそらく不可能。

 

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そこで、考えられる方法としては、画像左側の歩道を狭め、これに合わせて車道をスライドさせて、道路の中央部分のスペースを広げて停留所を設置する方法。

この際、信号機の柱や街路灯を移設する必要がある。

 

国道155号線の交差点はほぼすべて同じような規格で作られているため、この他の交差点でも同様の手法で停留所を設置することとなると考えられます。

 

ちなみに、国道155号線の構造として、交差点付近は歩道の幅が狭められていますが、交差点以外の部分はもともと歩道が広く作られています。

そのため、交差点にこだわらず、歩道橋や押しボタン式信号機の設置などを用いて交差点以外の場所に停留所を設けるのなら、歩道を狭めることでスペースの確保はより容易になるのではないかと思いますが、何せ歩道橋はコストやバリアフリーの点で不利でしょうし、押ボタン式信号機は交通への影響が大きいため、できれば交差点に停留所を併設したいですね。

 

 

名古屋市基幹バスの中央走行レーンは、一般の自動車の走行も可能な作りになっています。

対して、国道155号線に整備する中央走行レーンでは、ポールを設置するなどして通常の車線との分離を図ります。

名古屋市基幹バスの新出来町線は「初見殺し」と言われるように、初めて新出来町線が通る道路を運転すると戸惑うといった声がよく聞かれますが、国道155号線でこのような状況になるのはあまり好ましくありません。

国道155号線はトラックの通行量も多く、周辺に物流拠点や大きな事業所などが多い地域の幹線道路であることから、初めてのドライバーにもできるだけ分かりやすい道路構造にすることを念頭に置き、中央走行レーンと通常の車道を完全に分離することとします。

交差点でも、誤進入を防ぐため名古屋市基幹バスのようなカラー塗装を交差点に施したり、バスレーンの存在を知らせる標識などを設置してドライバーへ注意を呼びかけます。

また、交差点の信号機は名古屋市基幹バスと同様、セパレート信号を採用し、バスの走行と右折車が同時に発進しないようにします。

これらの点については、道路の管理者である県や国、信号を管理する愛知県警との調整が必要になりますので、こういった関係機関との連携が実現への課題と思われます。

 

 

停留所については、狭い空間に設置することになるためどうしても小さなものになってしまいますが、それでも道路の中央に設置されるということを踏まえ、名古屋市基幹バスと同じように屋根と壁が設けられたタイプであることが望ましいと考えています。

 

▼参考:名古屋市基幹バスの停留所と富山ライトレールの停留所

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名古屋市基幹バス 古出来町停留所

自動車の衝突などを防止するため、コンクリート壁が設けられている。

 

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富山ライトレール インテックス本社前停留所

名古屋市基幹バスよりも簡素な作り。自動車の衝突防止の柵が設置されている。

 

道路の中央にある以上、自動車の衝突に対してある程度安全性を備える必要がありますし、雨天時には道路の中央で傘を差すのも危険ですので、上屋は必須でしょう。

 

 

 

 

以上、いろいろ書いてきましたが、これら一連の中央走行レーン整備の結果、国道155号線を通過する路線バスは道路交通からある程度分離された状況となります。

このため、交通量が多かったり、交差点付近で自動車が詰まったりしていても、バスの運行はその影響を受けることがなくなり、定時性が向上します。

速達性については、整備区間が約3kmと短いことから劇的な時間短縮に繋がることはないかと考えていますが、一般の自動車と分離することで多少速度を上げた走行が可能になるでしょう。

 

 

 

小牧市の公共交通には課題が盛り沢山です。

その一つに、半ば分断された市の東と西を結ぶ東西交通軸の強化があります。

この中央走行レーンの整備は、距離的に分断されている市の東部と西部を少しでも近付けるべく、バス交通の利便性向上によって東西交通軸の強化を図ろうとするものです。

将来的には、バスレーンの整備は国道155号線の高架橋の撤去区間にとどまらず、レーンの整備区間をさらに小牧駅に近付ける延伸なども行われると、その効果を最大限発揮できるのではないかと考えています。

 

また、この中央走行レーンは主にピーチバスを念頭に置いて考えているものですが、いずれはこまき巡回バスがこのレーンを走行するといったことも検討課題だと思っています。

というのも、小牧市東部の野口や大草、高根といった地区は、市役所や市民病院といった市の主要な施設が集積する市西部から離れた地域になっており、小牧駅方面へ向かう際の巡回バスの所要時間が長いとの不満が出ている地区でもあります。

こまき巡回バスの東部コースについては現在コースの見直し作業が行われていますが、この見直し以降、さらに見直しが必要になった時点でまだ同様の不満があり、なおかつ国道155号線に中央走行レーンが整備されているとすれば、これはこまき巡回バス東部コースの所要時間短縮の切り札にもなり得るのではないでしょうか。

 

このように、国道155号線に中央走行バスレーンを整備するという案は、単にピーチバスの利用者が恩恵を受けるだけでなく、市西部と市東部を距離的に近付ける上で重要な機能を担うと考えています。

 

 

 

 

 

さて、長くなりましたが、以上が提言の内容になります。

桃花台線のインフラ撤去を巡っては、まずはインフラ撤去に関する諸々の課題を克服することが最優先事項になります。

ですが、それが一段落した後には、ぜひ、インフラ撤去によって生じるスペースの活用方法について市民レベルでの検討があってほしいものです。